アレグラン渡部のサッカーの素

愛知県東海市のスポーツクラブ "アレグラン東海” の代表の渡部貴朗が、自身のサッカー観を中心に、スポーツ、教育など気になることを素直に書いていきます!

競技規則 “ファウルと不正行為” を考える・・・ヘディングの競り合い

先回の続きです。

 

 

先回は・・・

👇

alegruntokai.hatenablog.com

 

 

2020J1第5節、

 

ベガルタ仙台 vs. 北海道コンサドーレ札幌での

 

レッドカード(退場)のことから書き始めました。

 

 

 

中途半端に止まっていましたこの件について、

 

今回は検証していきます。

 

 

 

動画は既にご覧になられたかと思いますが、

 

この場面で退場の判定が出ても(出ましたが)

 

誰も文句はないでしょう。

 

 

 

ところで、

 

退場になる反則とは?

 

 

 

最新版の競技規則を確認してみましょう。

 

◎Laws of the Game 20/21(サッカー競技規則 2020/21)

【退場となる反則】

競技者、交代要員または交代して退いた競技者は、

次の反則のいずれかを犯した場合、退場を命じられる。

 ▸ハンドの反則を犯し、相手チームの得点または決定的な得点の機会を阻止する

 (自分のペナルティーエリア内にいるゴールキーパーを除く)

 ▸フリーキックで罰せられる反則を犯し、

 全体的にその反則を犯した競技者のゴールに向かって動いている相手競技者の得点、

 または、決定的な得点の機会を阻止する

 (「得点、または、決定的な得点の機会の阻止」に規定される警告の場合を除く)

 ▸著しく不正なプレーを犯す。

 ▸人をかむ、または人につばを吐く。

 ▸乱暴な行為を犯す。

 ▸攻撃的な、侮辱的な、または下品な発言や身振りをする。

 ▸同じ試合の中で2つ目の警告を受ける。

 ▸ビデオオペレーションルーム(VOR)に入る。

 退場を命じられた競技者、交代要員、または、交代して退いた競技者は、

 競技のフィールド周辺およびテクニカルエリアから離れなければならない。

 

 

余談ですが、

 

VOR」という文言が入っている部分を見ますと、時代の流れを感じます・・・。

(※ビデオ・オペレーション・ルーム…Video Operation Room, VOR

 

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 (2018/2019の競技規則から、VORの文言が登場しました)

 

 

さて、話は戻ります。

 

 

その前に断りを入れさせていただきます。

 

 

 

このたび採り上げますプレーヤーのことを、

 

個人的な理由で述べたい訳ではありません。

 

 

もちろん、

 

別のチームを応援している関係で、

 

当該のチームの揚げ足を取る目的で書き連ねる・・・

 

そのような理由でも全くありません。

 

 

 

 

サッカーとは何なのか?

 

 

 

何をするべき」

 

 

「何をしないほうがよいのか」

 

ということを

 

改めて考えたい

 

のです。

 

 

 

「学びの切っ掛け」

 

としたいのです。

 

 

 

 

では、進めます。

 

 

youtu.be

🎦問題のシーンは3:48辺りです。

 

 

再度、競技規則を確認してみましょう。

 

 

 

先ほどは、

 

退場となる事象に関して、

 

競技規則を参照しました。

 

 

 

では、

 

ファウルと不正行為に関しての確認です。

 

 

 

最新の競技規則は、

 

次のようになっています。

 

直接フリーキック

競技者が次の反則のいずれかを相手競技者に対して不用意に、

無謀に、または、過剰な力で犯したと主審が判断した場合、

直接フリーキックが与えられる。

 

 ●チャージする。

 ●飛びかかる。

 ●ける、またはけろうとする。

 ●押す。

 ●打つ、または、打とうとする(頭突きを含む)。

 ●タックルする、または、挑む。

 ●つまずかせる、または、つまずかせようとする。

 

身体的接触を伴う反則が起きたときは、直接フリーキックまたはペナルティーキックで 罰せられる。

 

 ➠不用意とは、競技者が相手に挑むとき注意や配慮が欠けていると判断される、

  または、 慎重さを欠いてプレーを行うことである。懲戒処置は必要ない。

 ➠無謀とは、相手競技者が危険にさらされていることを無視して、

     または、結果的に危険となるプレーを行うことであり、

     このようにプレーする競技者は、警告されなければならない。

 ➠過剰な力を用いるとは、競技者が必要以上の力を用いて相手競技者の安全を

  危険にさらすことであり、このようにプレーする競技者には退場が命じられ

     なければならない。

 

競技者が次の反則のいずれかを犯した場合、直接フリーキックが与えられる。

 ●ハンドの反則(自分のペナルティーエリア内でゴールキーパーが触れた場合を除く)

 ●相手競技者を押さえる。 

 ●身体的接触によって相手競技者を妨げる。

 ●人をかむ、または人につばを吐く。

 ●ボール、相手競技者または審判員に対して物を投げる、

   あるいは、持った物をボール に当てる。

 

 

 

 

では、

 

北海道コンサドーレ札幌㉗MF 荒野拓馬 選手のプレーはどうでしょうか?

 

連続画像で確認します。

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問題となったのは、

 

最後のコマ。

 

 

 

荒野選手の

 

“乱暴な行為”

 

です。

 

 

 

ほとんどの方が

 

このシーンで

 

「あ、もうアウトだね」

 

になることだと思います。

 

 

 

妥当な判定で、

 

レフェリーも

 

間近でそれを確認できています。

 

 

 

多方面からも

 

“そのこと”で、

 

(ネット上では)半ば袋叩きのようになっています。

 

例えば、

札幌のクラブ公式ツイッターでは、

「主審の目の前はあかん」

「蹴っちゃダメだよ…」

「ボール蹴ろうぜ!!」

etc.

さらには、英大手プロバイダー“フットボール・レーダー”で

アナリストを務めるサム・ロブソン氏は、

自身のツイッターで、

「仙台で一触即発。激怒したタクマ・アラノがコンサドーレ戦で退場。

 ハイボールに挑戦し、セキグチに幼稚なキックを見舞う。愚かで不必要だ」

 と綴りました。

 

 

・・・

 

「競り合い(に勝てず)で激高してしまった」

 

その“メンタルの部分”に

 

改善しなければならない課題があるのですが、

 

別の角度からも、今一度考えてみましょう。

 

 

 

〈粗暴な行動の要因〉

 

❶競り合いの際、

  相手競技者である、ベガルタ仙台関口訓充 選手の左腕が、

  荒野 選手の顔面(右頬)に強く当たったから

 

 

❷このシーンだけでなく、

 「この前に(から)」激高の要因となる火種があったから

 

・・・

 

事の真意は、

 

当事者同士にしか分かりません。

 

 

 

 

但し、理由は何であれ、

 

この行為は、看過できません。

 

 

 

そして、

 

重大なことなのですが、

 

「競り合いのシーンに外せない問題」

 

が見られます。

 

 

 

それは、

 

“トリッピング

 

です。

 

 

リッピングは相手選手をつまずかせたり倒す行為のことです。

 

 

ちなみに、詳しくは・・・

 

slipが、「後ろ向きに尻もちをつくような形で滑って転ぶ」

 

のに対して

 

tripは、「何かにひっかかったりしたことで前のめりにつまずく」

 

というものです。

 

 

このシーンは、

 

相手が、前のめりに倒れた(倒された)訳ではありませんし、

 

一般的なトリッピングの足が引っかかったものでもありません。

 

 

しかし、

 

リッピングには、

 

「相手の前や後で身をかがめたりして

  相手プレーヤーを引っかけて倒す、または倒そうとすること」

 

も含まれます。

 

 

 

ですので、

 

このシーンの反則は、

 

リッピングである

 

ことは間違いないでしょう。

 

 

 

で、

 

この競り合い

 

 ・・・

 

そもそも

 

ボールに対しての動き(反応)は

 

関口 選手が勝っていました。

 

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そして、

 

遅れをとった荒野選手が、

 

ジャンプした相手に

 

“潜り込む”ようにチャージ

 

しています。

 

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空中局面にある相手に対し、

 

この行為をすることは

 

『非常に危険』

 

なのです。

 

 

なぜなら

 

空中(※つまり両足がついていない無防備な状況)で

 

相手が身体を潜り込ませるように入ってきた

 

ら・・・

 

身体を当てられた側は

 

大きくバランスを崩して

 

「地面に叩きつけられる」(最悪、頚椎や脊椎を強打する)

 

ことが充分に考えられる

 

からです。

 

 

 

つまり、

 

「相手に大きなけがを負わせる可能性がある」

 

のです。

 

 

 

ですので、

 

この行為だけでも

 

競技規則を照らし合わせますと

 

『著しく不正なプレー』

 

と判定されても仕方がない

 

のでは・・・

 

と感じます。

 

 

 

 

補足ですが

 

「著しく不正なプレーとは❓」

 

どういったことを指すのでしょうか?

 

 

 

これも競技規則に明記されています。

 

⇨相手競技者の安全を脅かすタックルまたは挑むこと、

 また過剰な力や粗暴な行為を加えた場合、著しく不正なプレーを犯したことで

 罰せられなければならない。

 いかなる競技者もボールに挑むときに、過剰な力や相手競技者の安全を脅かす

 方法で、相手競技者に対し片足もしくは両足を使って前、横、あるいは後ろから

 突進した場合著しく不正なファウルプレーを犯したことになる。

 

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ガイドラインのような「足、両足」ではなく、

 

今回は、相手にぶつけたのは自身の「背中や腰」

 

なのですが、

 

・・・

 

危険度、安全面を大きく脅かしたところから、

 

厳しい判定が出ても全く不思議ではない

 

と、個人的にはそう思います。

 

 

 

 

 

繰り返しますが、

 

このブログのねらいは、

 

あくまで

 

“事象の検証と問題提起”

 

であり、

 

ある特定のプレーヤーやチームを非難する意図は

 

決してありません。

 

 

 

 

何卒ご理解ください。

 

 

 

 

その先の大きな目的は、

 

日本のサッカーの発展とさらなる向上です。

 

 

 

 

では最後に

 

荒野 選手の記事で〆たいと思います。

 

www.hokkaido-np.co.jp

 

www.rescuehero.net

 

 

 

コロナ禍の中、

 

地元北海道をサッカー以外の方法で支援を図ろうとしている

 

荒野 選手は、素晴らしい人物でもあります。

 

 

 

だから、

 

このたびのケースや過去のピッチの振る舞いは、

 

非常にもったいないのです。

 

 

 

他の動画サイトに出ていました

 

ある問題のシーン(J1リーグ第15節 2019/6/14)

 

では、左腕にキャプテンマークを巻いてプレーしています。

 

 

 

 

チームの信頼も厚い人物であることが、

 

うかがえます。

 

 

 

 

だから、

 

残念なのです。。。

 

 

 

 

見応えのあるサッカーには、

 

熱いハートとタフなプレーは

 

欠かせないものと思います。

 

 

 

しかし、いつ何時にも

 

忘れてはいけないのは、

 

“フェアに戦う精神と態度”

 

なのです。

 

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