アレグラン渡部のサッカーの素

愛知県東海市のスポーツクラブ "アレグラン東海” の代表の渡部貴朗が、自身のサッカー観を中心に、スポーツ、教育など気になることを素直に書いていきます!

平和な時よりも厳しい時の方が力が入ります

昨日、週末に録りためておいた番組を観ました。

試合の映像から、ドキュメントまで・・・。

 

その中で、ロアッソ熊本を取り上げた番組がありました。

このブログを書き始めた頃、熊本地震が発生しました。

その後、関連の内容を何回か、書き綴りました・・・。

 

気がつけば、熊本地震からもうすぐ2カ月となります。

この2カ月の間に、様々な出来事が起こり、

テレビ、新聞のニュースの記事も

熊本のことを見かけることが少なくなりつつあります。

被災地は、まだまだ完全に復興していないにも関わらず・・・。

地震のことで日本中が、下ばかり向いていてはいけないのですが、

熊本地震を決して風化させてはいけません。 

 

このたびの、ロアッソ熊本のJ復帰前から、復帰後のドキュメント番組は

改めて己の心に訴えかけるものがありました。

 

今から5年前の東日本大震災の年、

東北のJリーグチーム、ベガルタ仙台が素晴らしい試合を繰り広げました。

 

震災中断からの再開初戦の川崎戦を2-1、

その後も浦和に1-0、

福岡にも1-0で勝ち、なんと『3連勝』。

 

その後も好調を維持。

『中断再開後、11戦無敗』。

 

震災から2週間以上経った、3月28日にチームは再集合。

(※被害が大きかった地域に出向き、避難所への物資の運搬、壊れた家屋の片づけ、がれきの運びだし、子どもたちを元気づけるためのサッカー交流などを行い、練習は行わなかったそうです)

その後リーグ戦の再開の日程が決まり、他のクラブの協力を得て、

千葉県や埼玉県内でキャンプを行ったそうですが、

(キャンプでは)試合で体を動ける状態にするといった最低限のことで、

戦術やプレーの質を上げる練習まで、手が届いていなかったはずです。

また、さらにこのキャンプ中にチーム強化の切り札として獲得したばかりの

ブラジル人FW・マルキーニョス選手の退団が発表。

“全く良くない状況”の中、Jリーグ再開を迎えたのにも関わらず、好結果。

 

これは一体どういうことなのでしょうか?

 

ある記者の方の記事が、その理由を説明してくれていました。

・「守り」でも「攻撃」でも『全員が連動』している

・いいところを見せてやろうと、

『個人プレーに走る選手もいなければ、誰かに頼ろうというプレーも見られない』

・勝利という目的のために、

『各ポジションの選手がやるべきことを精一杯やっている』

・相手選手との『球際では、執念で勝っている』

・マイボールを相手に簡単に奪われることはなく

『取られても必死で取り返そうと走る』

 

ベガルタの選手は震災後、積極的にボランティア活動をしたそうです。

被災地の惨状を目の当たりにし、つらい状況にある被災者とも接し、

選手は、被災者と悲しみを共有。

そして、

「仙台や東北の人たちに支えられているクラブに所属する“プロサッカー選手として”

何ができるのか・・・」

そのことに深く気づいたそうです。

 

その象徴たる試合がありました。

2011年6月18日のアルビレックス新潟戦。

この試合は、震災から100日目に当たる試合でした。

結果は、1-1の引き分けでした。

ただ、この同点劇・・・

0-1とリードされた仙台が、“後半アディショナルタイム”で起こします。

試合後にゴールを決めた菅井選手は、

「震災100日目の試合で被災者に負ける姿を見せたくなかった」

と語ったそうです。

 

「誰かのために・・・」

「強い目的のために・・・」

 

これを感じたチームは、驚異的な力を発揮するものです。


『気持ち』

『想い』

これは、本当に重要なことで、

そしてそれは、人を強くします。

 

このたびのタイトル

「平和な時よりも厳しい時の方が力が入ります」

という言葉は、

避難所生活を余儀なくされていますご年配の方が、

避難所を訪れたロアッソ熊本の選手に向けて、話された言葉です。

 

2011年・・・東日本の震災の年

ベガルタ仙台は、14勝14分6敗

勝点56,得点39,失点25,得失点差+14 

J1リーグで4位

 

そして、皆さまご存知の“なでしこジャパン”は、

2011 FIFA女子ワールドカップ決勝の舞台でアメリカと対戦し、

延長2-2からのPK戦を3-1で制して

ワールドカップ初優勝を成し遂げます。

 

2度もリードされながら、あきらめなかったなでしこジャパンには、

岩手県の出身の選手や

東京電力福島第1原発事故の影響で活動休止に追い込まれた

東電サッカー部の元部員がいました。

 

「絶対勝つぞ」という気力

そして

ームワーク

・・・

正に サッカーの素晴らしさ”

次は、ロアッソ熊本の選手たちが

みせてくれるに違いありません。

 

今月末26日は、岐阜での試合が控えています。

時間が許せば、熊本チームの雄姿を観にいきたいと思います。

 

最後に、

このブログを書いていました夜中、

窓の外では、けたたましいバイクの音が響いていました。

恵まれた環境の中、ただやりたいことをやる・・・

半ば自暴自棄になる若者に、ただただ虚しさを覚えます。

 

熊本地方には、まだまだ心が休まらない方々も大勢いらっしゃいます。

どうか一日でも早く、安心した日々が訪れますことをお祈りいたします。