アレグラン渡部のサッカーの素

愛知県東海市のスポーツクラブ "アレグラン東海” の代表の渡部貴朗が、自身のサッカー観を中心に、スポーツ、教育など気になることを素直に書いていきます!

子どもたちにサッカーを教えることについて・・・免許や資格の面から考える

前回、参院選挙のことについて書かせていただきました。

その中で、『資格』ということに言及しましたので、

このたびはその続きになります。

 

『○○を行うにあたり・・・』

 

もっともおおざっぱに、

そして、簡単に説明しますと、

 

「持っていないと法的に処罰されるのが免許」

「処罰はされないのが資格」

 

と、なるかと思います。

 

さらに・・・

サッカーを指導すること、

子どもたちにスポーツを指導すること自体、

 

実は、規定はありません

 

ただし、日本サッカー協会(※以下JFA)に登録しているチームに関しましては、

次のような規定があります。

 ☟

【指導者に関する規則】

~第3節 加盟チームの義務~

第6条 〔ライセンス保有者の設置義務〕

加盟チームは、それぞれ本協会が認定したライセンスを保有する指導者を監督又は

コーチとして置くように努めなければならない。

第7条 〔講習会等への参加〕

加盟チームは、その監督及びコーチを、本協会が実施する指導者養成講習会及び

リフレッシュ研修会に参加させるよう努めなければならない。

 

現行の規定においても、JFAに4種(※小学生チーム・選手)登録を行うのであれば、

有資格者(D級以上のライセンス保持者)がチームに1名は必要です。

また、東京都のケースですが、2018年には、東京都全ブロックの試合で、

「ベンチ入り指導者のうち、1名が有資格者が必須」になるそうです。

つまり、都道府県によっては、登録時だけでなく、

“公式試合当日”にも有資格者がいないといけない・・・ということになります。

ちなみに、Jリーグの監督になるにあたっては、“最上級”のS級が必要になります。

 

さて、『免許や資格』の本題に戻ります。

 

 クラブの運営(経営)を生業にしています私設の民間クラブは、

「自クラブのグレードを上げたい」、「信用性を高めたい」との目的から、

ライセンス保持者を現場に配置することが多いように感じます。

 

協会へのチーム登録の際、指導者ライセンスが問われるようになってきましたので、

スポーツ少年団のチームさんでも、資格保持者が増えてきたように感じます。

 

ただ、サッカーチームやクラブでの指導に、

「資格がないと教えることはできない」

という規定はありません。

 

少し整理してみましょう。・・・

 

保育園、幼稚園、小学校など、子どもに教育を施す立場にある人間には、

免許が必要となります。

基本的なケースとしては、専門的知識や実践力を養成するための学校において、

必要単位を修得する。

つまり、それ相応の知識と実技の習得(実習)の機会を経て、

客観的評価(試験等)により、免許の交付が行われます。

(◎これは自動車運転免許と変わりません)

 

小学生であってもサッカーチームが公式戦を行うにあたっては、

JFAにチームと選手の登録が必要となります。

チーム登録には(書類上)、JFA有資格者が必要になります。

JFAの指導者ライセンスを取得するには、指導者養成講習会を受講し、

知識と実技の習得(講習や指導実践)の機会が設けられ、

客観的評価(テスト合格)によって、ライセンスの交付が行われます。

(◎これも、自動車運転免許の交付と変わりはありませんが・・・

但し、D級になりますとコンパクトな講習会で取得は可能ですので、

ライセンス取得にかかる時間やエネルギーには、大きな差があります。)

 

しかし、幼児や小学生のサッカースクール、少年団、部活動で

子どもたちのサッカーの指導をするだけであれば、

「免許も資格も、求められることはありません」

 つまり、“誰でも”、“その日から”子どもにサッカーを教えてもよいことになります。

 

でも、これはなぜでしょうか?

 

“これから将来のある子ども”に対して、

“物事を教える立場にある大人”の側に、

『免許や資格がなくても教えることができる』

・・・不思議なことがあるのが、

この国の子どもたちを取り巻くサッカーの現実なのです。

 

そして、4種レベル(小学生以下)では、

指導者の資格を有していない大人が、サッカーを教えている(?)率が、

とても多いのが現状です。

 

では、実際はどうやって教えているのでしょうか・・・?

 

①過去、自身が経験してきた練習方法や受けてきた指導スタイルをそのまま使っている

②(民間クラブであれば、その団体の)マニュアル本の内容をそのまま使っている

③書店に並んでいる指導書、指導に関するDVD、YouTubeなどの映像媒体をそのまま使っている

ことが考えられます。

 

子どもにとっては、本当に「悲しい現実」です。

 

私は、ライセンス保持者が、単純に偉いとは思いません。

『“ライセンス保持者 = 良い指導ができる人” とは限らない』と考えています。

 

しかし、現在、学ぶ機会が多くあるにも関わらず、

そのような環境に教える側自身が身を置くこともなく、

過去の経験や感覚を頼りに

「指導者(コーチ)」の“名”で、子どもの前に立つことが、

果たして良いものかどうか?

という疑問を、大いに感じるのです。

 

子どもたちには、この先明るい将来が待っている・・・はずです。

 

子どもの前に立つ指導者(大人)は、

「サッカー競技における正しい知識」

「サッカー技術の正しい基本」

また

「人間の発育発達の知識」

を有していることが大切になります。

 

さらには

「人間の教育」

ができることも重要なポイントであると、私は考えます。

 

『全ては子どもたちの明るい将来に向けて』です。

それを実現するために大人がすべき必要な努力・・・

“そのひとつ”が、免許や資格の取得ではないでしょうか。