アレグラン渡部のサッカーの素

愛知県東海市のスポーツクラブ "アレグラン東海” の代表の渡部貴朗が、自身のサッカー観を中心に、スポーツ、教育など気になることを素直に書いていきます!

不思議なジュニアのサッカーの環境    ~その1~

先日、ある市の小学校サッカー大会(小学校部活動対抗戦)を観ました。

 

会場は、市営の陸上競技場(天然芝)でした。

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 話は変わりますが、自身の子どもの頃は、

「サッカーは土のグラウンドでプレーする」と、真面目に思っていました。

とんでもないあるエピソードをご紹介します・・・。

中学校の他校と試合した会場が、たまたま地域に唯一の地元企業の芝生グラウンドで

練習試合をした同級生が足を骨折をしました。

それがきっかけで一時

「芝生でサッカーするとケガをする・・・」

という奇妙な噂が校内で広がりました。

今考えますと、本当におかしな話です。

本場のサッカーは、どのような環境で試合をしているのでしょうか・・・?

ワールドカップは?現在、リオデジャネイロで開催されていますオリンピックは?

もちろん“天然芝”ですね。

確かに、芝で足をとられることも無いわけではないのですが・・・

それほど約30年前の子どもが、

芝生のグラウンドというものを見たことも、

そこでボールを蹴ったこともなかった事実を、証明するようなできごとでした。

 

さて、先日観た試合に戻ります。

レギュレーション(*規定)は、以下の通りでした。

・2日間の日程で、初日の予選は、3グループでリーグ戦
・グループⅠとグループⅡは、3チーム総当たりで、
 グループⅢだけは、4チームのため変則リーグ(*各チーム2試合)
・2日目の順位決定は、初日のグループリーグ1位のチーム
 (*グループⅢのみ4チームのため1位と2位)の4チームで
 トーナメントで決定
・ピッチサイズは、フルピッチの半分
・人数は11人制
・20分ハーフ(*ハーフタイムは5分…飲水タイムあり)
・審判は3人制(*審判服はなく、ビブス着用)
 
試合中に観た光景を、率直に挙げます。
▲センターサークルから、ほとんど移動しない主審
▲ゲーム中、腰で手を組む主審
▲飲水タイム中、アシスタントレフェリーフラッグでゴルフスイングしている副審
▲フラッグを反対の手で上げて、身体をひねって指す副審
(*体の前を旗を持った腕が交差する姿勢です)
▲ウォーミングアップでの意図の感じられないポストシュート
(*ゴールまでの距離が遠すぎる、ポストが落とすボールが適当)
▲チーム内で技術の高いプレーヤーを前線に据え、
 一方、ゴールキーパーには、技術が乏しいプレーヤーを配置
ゴールキーパーが、ゴールキックを蹴らない(*上手く蹴れない)
▲中学を目前に控えた対象者に、狭いハーフピッチで11人制のプレーを強いる
▲負ければ1日で終わるレギュレーション(*10チーム中、6チームが敗退)
 
ひとつひとつ考えてみましょう・・・
【審判について】
➊センターサークル内を移動している主審
これでは、よくファウルが起こりやすいエリア内のプレーを正確に判定する
ことは不可能です。
❷終始、手を腰の後ろで組んでいる主審
これは、➊とセットの場合が多いです。腰に後ろで組んでいますと、
「とっさのことに対応(*走る、笛を吹くなど)できる」姿勢ではありませんね。
❸緊張感のない副審
よく見かけます。主審に試合を丸投げして、ライン付近を上下に動いているだけ。
❹旗を適当に上げる副審
これも、❸とセットの場合が多いですね。
 
どれも、残念なため息が出そうなの光景ですが・・・
「子どものために開催している試合」なのであれば、
そこに関係する大人は、どうすれば良いのか簡単に分かることです。
 
ルールを理解するのは、日頃のトレーニングの中での働きがけと、
“正にこのような大会”ではないでしょうか?
なぜ、試合の場で、審判員がきちんと関わってあげないのか本当に不思議に感じます。
 
ジュニアの大会の審判は、大半が前後の試合に出場するチームの指導者が担います。
ですから、この日の試合であれば、小学校の先生が担当されるわけですので、
競技規則等をよくご存知ではない場合も多いことは理解できます。
しかし一方で、“先生”方だからこそ、『子どもを育てたい』というお気持ちは、
強いはずなのですが・・・。
 
まず、審判服は着用すべきではないかと感じました。
「小学校の部活程度で・・・」と、感じられる方もいらっしゃるかと思います。
個人持ちでなくとも、“チームで審判服”を一式用意しても良いのではないでしょうか。
 
ルールを知らない方・・・これも分からなくはありません。
サッカーがご専門の方が、顧問をなされていらっしゃらないチームも多いことかと
思います。
しかし、「ルールを知らないで、サッカーの指導をすることはある意味危険である」
と感じます。
例えば、サッカーには1対1の場面があります。
そこで、指導者がルールを理解していなければ、
 ●相手と接触するとファウルになる
 ●相手が転倒するとファウルになる
と誤解してしまうかも知れません。
また反対に、
 ●相手に手をかけることは海外では当たり前
 ●いわばずる賢さはサッカーには当たり前
となってしまうこともあるでしょう。
 
そうすれば、子どもたちはこの先、本当のサッカーに出会ったとき、
きっと苦しむことになります。
プレースタイルは、簡単には変わらないからです。
正に『サッカーは躾と同じ』で、習慣が身体に染みついていくものです。
良い習慣は、良いプレーへとつながります。
逆に間違った習慣は、悪いプレーが定着していきます。
 
競技規則は、読めば解ります。
困ったことがあれば、インターネットでも容易に調べることができる時代です。
しかし、経験者ではないから『よく解らない・・・』まま、
現場を任されている先生が、多いように感じてなりません。
 
今回は、審判のことだけにとどめたいと思います。
 
そこで、最後におまけになります・・・。
 
見事にどの先生(主審)も「キーパーいい?」をされますが・・・
なぜでしょうね?
そして、フィールド内の人数が揃っているのは分かっているはずですが、
指差しで人数を数えられます。
これもなぜでしょうね?
どれも競技規則には書いてありません・・・。
ワールドカップでも、Jリーグでも見たことはありません。
 
仮に、競技者に尋ねるのであれば、
ゴールキーパー以外のプレーヤーにも
「いい?」をしなければアンフェアになります・・・。
競技の進行の面(*時間のロス)観客の側に立って考えても、
必ず行う必要があることでしょうか?
多分、深い意味もない“慣例”だと思われます。
どこに行っても見かけるキックオフ前の主審のセレモニー(?)・・・
「日本の少年少女サッカーの七不思議」の一つといえます。
 
大切なことは、良い意味で周囲の人の行動を疑う必要があります。
子どもの前に立つ大人は、
自身が行動を起こす前に、「考えなければいけないこと」があります。