アレグラン渡部のサッカーの素

愛知県東海市のスポーツクラブ "アレグラン東海” の代表の渡部貴朗が、自身のサッカー観を中心に、スポーツ、教育など気になることを素直に書いていきます!

不思議なジュニアのサッカーの環境   ~その1のつづき(GK)~

 

今回はゴールキーパー(*以下GK)について触れたいと思います。
 
▲チーム内で技術の高いプレーヤーを前線に据え、
 一方、ゴールキーパーには、技術が乏しいプレーヤーを配置
ゴールキーパーが、ゴールキックを蹴らない(*上手く蹴れない)
 
これらが、ある市の小学生部活動対抗戦で感じた、GKに関する出来事でした。
 
話は変わりまして・・・
U-12(小学生)年代のクラブでは、GK専門コーチがつくことはあまりないため、
フィールドを経験してきた人間が、GKのことを指導するケースが多いといえます。
自身もその一人。
GKの経験がないため、指導者になってからGKのことを学びました。
 
初めて体験するGKの世界に・・・驚くことが多々あります。
 
基本姿勢、ポジショニング、キャッチング、セービング、スロー・・・
難しいことだらけです。
 
そこで強く感じますのが、
『GKは、運動能力が低い人間には決して務まらない』
ということです。
 
それを言葉で説明するよりも、理解できる映像があります。
[■動画は、MP4形式ですので再生にはソフトが必要になる場合があります]
 
映像に出てきますGKは、ブラジル代表のゴールマウスを守ったこともある
(*2000年から10年間、現在本田圭佑選手が所属しますイタリアの名門、ACミランに所属していました)
映像は、41歳の時のものですから、尚更驚かされるのですが・・・
とにかく、“チームの最後の砦”、「GKの身体能力の高さ」をうかがわせるものです。
 
そして、現在世界№1のGKの呼び声の高い、ドイツ代表のノイアー選手を
忘れてはいけません。
 
「GKは、ゴールエリア付近を守っておけばよい」
そのようなことは、ノイアー選手には全くあてはまりません。
 
その守備範囲の広さは、正にディフェンダーの後ろに位置する
リベロプレーヤーのような働きをしています。
 
映像をご覧になってお分かりになるかと思いますが、
 ◎危険察知能力の高さ(サッカー理解度の高さ)
 ◎勇気(決断力の高さ)
 ◎俊敏性やパワー(身体能力の高さ)
などが際立っています。
 
しかし・・・
私が小学生の大会で目にした光景は、この全く逆のかたち。
これらが備わっている子どもは、全て中盤から前(*特にFW)にいました。
 
なぜそうなってしまうのでしょうか?
小学生に「GKをやる人?」と尋ねると、
(私の経験上ですが)皆、なかなか手を挙げません。
仕方なく引き受ける子がいてくれると「ありがとう」というような雰囲気です。
一般的に「シュートを止める方よりも、蹴る方に魅力を感じる」傾向にあります。
そして、「ゴールを守ることは痛みを伴う」ということを気にしているのも事実です。
これには土のグラウンドが影響していることも考えられます。

とにかくGKをやりたがる子は少なく、GKをやるのは、どちらかというと・・・

チームの中で足下の技術が足りない子が務める場合も多いように感じます。

しかし、海外ではあまり見られないと耳にします。

逆に、GKは身体能力が高く、チームで一番サッカーが上手い子がやるもの、

そしてユニフォームも周りと違うものを着られるなど、

様々な要素から花形のような認識もあるようです。

さらに、イタリアやドイツなどの“GK大国”では、

日本のように土のサッカーグラウンドは少なく、

“ゴールデンエイジ”にあたる10~12歳頃にはGK専門のトレーニングを積んでいるため、

技術の習得もより深まり、結果的に完成度の高いGKが育つという仕組みがあります。

それに対して、日本の小学生はGKをやりたがらず、場合によっては、

やむなくチーム全員でGKを回しながらこなしていくため、

なかなか専門的な技術が高まりにくい現実があります。

 

そして、日本の小学生のGKがゴールキックを蹴らないこと・・・

これにも訳が潜んでいます。

 

ロングキックが苦手 ⇒

ボールに上手く足を当てることができない ⇒

サッカーの基本が身についていない子がGKをやっている

 

ということではないでしょうか。

 

一概にはいえませんが、

キックが上手くできない→

パスがやシュートが不正確→

攻撃に参加させることができない…→やむなくGKを任される・・・。

これで本当にいいのでしょうか?

 

単純に考えますと、「GKがゴールキックを蹴らない」となりますと

他のフィールドプレーヤー(*大半はセンターバック)が

ゴールキックを蹴ることになります。

そうしますと、同じ人数のフィールドプレーヤーに差が生じ、

攻撃側(*ゴールキックを蹴る側)が数的不利な状況になるわけです。

これは明らかに、「自ら不利な状況をつくってしまっている」ことになります。

ですから、「ゴールキックはGKが蹴るべきである」と私は考えています。

『できないのなら、できるようにトレーニングをするしかない』と考えています。

なぜなら・・・

GKは特殊な技術も要しますが、『サッカープレーヤーだから』です。

想像してみてください。

蹴球とも呼ぶサッカーという競技の中において、

キックが上手くできないプレーヤーを、良いサッカープレーヤーと呼べるでしょうか?

 

自身が、キックが上手くできなかった日に改めて取り組むトレーニングが・・・

GKのパントキックです。

そのお手本になっています映像のひとつが、こちらです。

日本代表GKの美しいパントキックです。

youtu.be

 

このたびの映像などをご覧になられていかがでしょうか?

 

試合で

 ボールを蹴ることができないプレーヤー

 身体を動かすことに課題のあるプレーヤー

 サッカー理解が不足しているプレーヤー

をGKに配置するべきでしょうか?

 

私は優れたプレーヤーほど、フィールドプレーヤーだけでなく、

GKにも向いているのではないかと考えています。

そして、GKにも専門的な技術は小さいうちから与える必要があると同時に、

『サッカープレーヤーとしての基本技術』を

 しっかりと身につけるべき

だと考えています。