アレグラン渡部のサッカーの素

愛知県東海市のスポーツクラブ "アレグラン東海” の代表の渡部貴朗が、自身のサッカー観を中心に、スポーツ、教育など気になることを素直に書いていきます!

サッカーをするのは誰のため?

先日、ある女子の普及が目的のフェスティバルを観ました。

 

ただ内容は、Jリーグが開催されます隣の補助競技場で試合を行い、

「勝ち残れば、メインスタジアムで(Jリーグの試合前に)試合をさせてもらえる」

といった少し豪華なプログラムでした。

 

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その他、試合のルール等、詳細は以下の通りです・・・。

 ●対象は4年生以下

 ●5人制のGKつき

 ※自由交代制

 ●ピッチサイズはフルピッチの4分の1程度

 ●ゴールはフットサルサイズ

 ●ボールは4号

●前半8分ーハーフタイム4分ー後半8分

 ※ランニングタイム

 ●レフェリーは2人で(中学生?)女子

 ●ゴールキーパーのプレーは、フットサルにほぼ準じたかたち

 キーパーがキャッチしたら、スローのみ(パント、ドロップキックは×)

 

全8チーム参加。

半分の4チームは、

地元レディースチーム2チーム(←それぞれA,B分けの2チーム)で組まれていました。

残りの4チームは、

このフェスティバルのみで、個人で参加した小学生によって構成された、

即席のチームでした。(*フットサル施設で、実施されています“個サル”と同じ)

 

試合前、また試合中の様子を観ていまして感じたことを書きます。

 

試合前のウォーミングアップでは、

 ◦きちんとリフティングができない

 ◦ボールをきちんと止める、蹴るができない(*対面パス)

 ◦ドリブルのタッチがおぼつかない

などが、全体で目につきました。

 

しかし・・・これら全ては、『基本が足りない』ことによる問題です。

 

よく

「まだ小学生だから・・・」

といいますが・・・

逆に、

『小学生だからこそ、“基礎基本”が大切』

ではないでしょうか。

 

いざ試合になりますと、

身体的に優った(背が高く、がっちりした体形の)子が、

活躍し始めます。

これは、致し方ない部分でもあります。

小学生の時期は、発育面での個人差が大きく、

相手とボールを奪い合う(競り合う)競技であるサッカーでは、

身体の強さが表れやすい時期でもあります。

ですので、

体格が小さい子どもたちは、慌てずこの時期に、じっくりと向き合うべきです。

 

 

さて、タイトルの件ですが・・・

第1試合から、フェンス越しで観ています大人の声が気になりました。

 

「いけー」

「進めー」

 

まあ、ここまでは、よくあることですので、それほどは気になりません。

(しかし・・・やはり、もう少し静かに落ち着いて観るべきでしょう)

 

問題は、この後です。

『体を当てろ!』

『シュートだ!!』

・・・

このような具体的な、外野からの声(←指示)は慎むべきです。

 

なぜか?

 

それは、ただ耳障りなだけではありません。

 

“プレーヤーの判断を妨げている”

から問題なのです。

 

今、

「シュートをする」べきでしょうか?

それとも

「シュートをしない」で、他の技術を発揮するべきでしょうか?

 

少し横道に逸れますが、

サッカーの攻撃とは・・・なんでしょうか?

 

シンプルに考えて、

 ◎シュート

 ◎ドリブル

 ◎パス

この3つの選択肢があるはずです。

 

これまた余談になりますが、

小学生年代のサッカーは、

シュート(主に、キックの技術)が疎かにされ、

多々、ドリブルに偏重している傾向にあります。

ですので、

「テクニックがある」

ということはイコール、

『ドリブルが巧みである』

ということになりがちです。

 

極論になりますが、

たとえ得点を決めなくても、

“股抜きができた”

“おしゃれなフェイントで相手を揺さぶれた”

ことで、

「テクニックが発揮できた」と満足しているケースも多く見られます。

 

それ(←様々なドリブルでのボールの動かし)は「技術ではない」とは、

言い切ることはできませんが・・・

一方で、“合理的”な考えを持ち出しますと、

「得点につながらない攻撃は、効果がない」

ともいえなくはありません。

 

長年、日本サッカー界の課題に挙がっています、

 「代表チームの得点力不足」

 「世界に通用するストライカーがいない」

といった問題は、

大人が偏った考え方により技術を捉え、

育成期の子どもに与えてしまったことが、原因でもあると考えられます。

 

本当の技術、テクニック というものを

子どもたちに伝え、植えつけさせていかなくてはいけません。

 

そして、次に良いプレーをする上において重要になるのが、

 

 『プレーの判断』

 

です。

 

その部分(←プレーの判断)を適切にできてこそ、

良いプレーヤーなのですが・・・。

そこを育てる意識 を、

子どもの周りにいる大人が配慮しなければいけません。

 

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シュート? or ドリブル? or パス?・・・

 

それは、

本人(子ども)自身が決めることであり、

外野の大人が与えるものではありません

 

「シュートだ!!」

と言っている大人に考えて欲しいことがあります。

 

プレーヤー(ボール保持者の子ども)の目線で

 

その距離、

その角度、

そして、

相手の位置、

味方の状況、

 

全てを考慮した上での

「シュート」

でしょうか?

 

まず違うのは、

 

『あなた(大人)は、ピッチ上にいない』

ことです!

 

あなたには

“足下にボールはなく”

さらに

“相手はいない”

そのような状況(つまりノープレッシャー)の中であれば・・・

 

何でも言えますよね。。。

 

しかし、そもそもそこが

“考えられていない”

痛すぎる(誤りの)部分であり、

 

『子どもの成長を阻害している原因』

 

になっているところです!

 

さらに・・・

ここには悪しき側面が隠されています。

 

「シュートだ!!」

の言葉は、

大人たちのエゴ以外に他有りません。

 

なぜなら・・・

シュートが決まって

試合に勝利し

決勝ラウンドに進んで

『メインスタジアム(*Jリーグ会場)でのわが子の試合を観たい』

のは、

親だからです。

 

もうこれでは、

サッカーをやっているのは、子どもではなく親ですね。

 

しかし、プレーしているのは、

まぎれもなく、“子ども”です。

 

「シュートだ!!」

との(外野の)声に慌ててシュートして、

その行為で仮にボールがゴールに入っても、

子どもたち自身は、本当に楽しいものでしょうか??

 

そのゴールは、自分の力で獲ったものではありませんよね。

それで、本当に自信になるのでしょうか?

 

そのゴールが、将来につながるのでしょうか?

 

いつも

 

サッカーを通して、

サッカーの

“楽しさ”を覚え、

“成長”し、

自己実現”を果たすのは・・・

 

子どもたち自身です!!

 

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子どもがサッカーをするのは、自分のためです。