サッカーは足下だけ?
先日の2018 FIFAワールドカップアジア最終予選第5戦、
サウジアラビア代表に2-1で勝利。
折り返し地点で、日本は3勝1分1敗の勝点10でグループ2位に浮上。
無条件でW杯出場権を獲得できる圏内に入りました。
しかし、この試合、
完全に満足できる結果だったでしょうか?
気になったのが、
このシーン・・・
後半45分を過ぎ、既にアディショナルタイムに入った時。
(*手元の時計では、94分14秒のシーンです)
日本が、2-1でリードをしていた時、
サウジアラビアの右サイドから、中央に向かって絶妙のクロスボールが入ります。
ちょうど、
ボールが入ってきます。
ハイボールに対応できず、
ナシル・アルシャムラニ選手(*途中交代で出場)に
フリーでヘディンシュートを打たれます。
このシュートは、
日本のゴールマウスを守る西川選手のファインセーブによって、
失点は免れましたが、
もし、ゴールを割っていたら・・・
日本は勝ち点1しか積み上がらず、
とても後味の悪い試合になっていたと思います。
ところで、
このようなシーン・・・
サッカーファンにとっては、
“苦い思い出”として、記憶に残っています。
「ドーハの悲劇」と呼ばれる試合です。
ドーハの悲劇・・・
今から23年前の1993年10月28日、
カタール・ドーハのアルアリ・スタジアムで行われたサッカーの国際試合、
日本代表対イラク代表戦。
この翌年に開催される、2014 FIFAワールドカップのアジア最終予選の最終節。
試合終了間際のアディショナルタイムにイラク代表の同点ゴールが決まり、
「FIFAワールドカップ初出場に近づいていた日本代表が、
一転して予選敗退する結果」
となった、(悔しい記憶として)日本サッカー史に刻まれた試合です。
この試合のイラクのゴールを振り返ってみましょう。
ボールを受けたプレーヤー、フセイン・カディム選手は、
対応に来た三浦選手をワンフェイントでかわして、縦にボールを進めて、
中央にクロスボールを入れます。
ふわりと送られてきたボールは、
競り合いの中で、いち早くジャンプしたオムラム・サルラン選手が、
ヘディングシュート。
そのボールは、ゴールキーパー松永選手の頭上を放物線を描き、
ゴールへ吸い込まれました。
手元の時計では、90分20秒の出来事でした。
そしてさらに、現在のロシアワールドカップアジア最終予選、
第3戦となった前々回のホームイラク戦も、
同じような
『空中戦の競り合いに負けるシーン』
がありました。
アハメド・ヤシーン・ゲニ選手が、
中央にスピードのある正確なボールを蹴り込みます。
中央での競り合いで優ったのは、サード・アブドゥルアミール選手。
ボールは、ゴール左下隅に叩き込まれました。
そして・・・
前回、前々回と取り上げた、
小学生のフットサル全国大会、決勝でのシーンです。
赤チームの左サイドの自陣近くからのキックイン。
※キックイン・・・
フットサルおよびビーチサッカーにおいて、試合を再開する手順のひとつ。
フィールドの両側に引かれたタッチラインからボールが出てしまった場合、
アウトオブプレーとなり試合が中断します。
この場合、「サッカーではスローイン」となりますが、
フットサル、ビーチサッカーでは最後にボールに触れたプレーヤーが属するチームの
『相手側が、ライン上にボールを静止してキック』を行い、再開となります。
赤チームのプレーヤーが、蹴り込んだロングボールは、
一気に相手(白チーム)のゴール前に・・・。
あっさりと赤チームのプレーヤー⑪が
ヘディングシュートを決めます。
その1分後・・・
“ほぼ全く同じ形”で、赤チームは得点を挙げます。
なぜ、このようになってしまうのでしょうか?
それは、ただ単純に、
「先に起こったことへの対応ができなかったから」
でもありますが・・・
『“高いボール”に対してのディフェンスの対応力が不足しているから』
ではないでしょうか。
日本の子どもたちは、
「技術がない」
「足下がない」
ということで、
出版業界より無数の
“特集!世界の足技〇〇”
(*数々の名プレーヤーのプレーを取り上げた)
といった雑誌や映像の教材が発売されています。
その影響からか、
安易な大人たちは
「これが世界だ」
と言いながら、
子どもたちに不必要なほどのドリブルの技術練習(?)を与えています。
しかし・・・
サッカーは足下だけでしょうか?
「頭(ヘディング)は、足より簡単だ」
という人もいますが・・・
ボールの速さ
ボールの落下点
ジャンプのタイミング
そして、
相手とのコンタクト(身体の当て方など)
ヘディングで勝つための要素は、
多くあります。
勇気、決断などのメンタルの部分も影響します。
したがって、
『それほど簡単ではない』
ということです。
今から6大会前のW杯、
アメリカ大会の出場を阻んだドーハの悲劇から、
何を学んだでしょうか?
サッカーとは何でしょうか?
地上戦ばかりが、サッカーでしょうか??
勝敗の分け目に存在するもの・・・
それは、
正しいものを確実に習得した先にある
真の『強さ』
ではないでしょうか。