アレグラン渡部のサッカーの素

愛知県東海市のスポーツクラブ "アレグラン東海” の代表が、自身のサッカー観を中心に、スポーツ、教育など気になることを素直に書いていきます!

箱根駅伝から学ぶ

年明け恒例のスポーツイベントは?

と尋ねられると・・・

 

私は、自然と

 

天皇杯全日本サッカー選手権大会 決勝」

 

になります。

 

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さて、

個人的な嗜好は別としまして、

 

もう一つの日本の新春スポーツイベントといえば・・・

 

箱根駅伝があります。

 

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箱根駅伝について】

箱根駅伝とは、

毎年1月2日~3日の2日間に亘り、

東京読売新聞社前から神奈川県箱根・芦ノ湖

区間を往復して計10区間を争う、

学駅伝競走です。

 

出場チームは、

前年大会でシード権を獲得した10大学チームと、

予選会を通過した10大学チーム、

そして、関東学生連合(オープン参加)1チームの

計21チーム。

 

1987年から放送を開始したテレビ中継により、

国内の学生スポーツの中でも、極めて高い人気を誇る競技大会です。

 

ここで豆知識です・・・。

 

 ◎現在開催されている駅伝の中で、距離としては2番目に長い

 (*最長は、長野県縦断駅伝)

 ◎正式名称は、実は箱根駅伝ではなく

 『東京箱根間往復大学駅伝競走

 ◎ “箱根駅伝”は、読売新聞東京本社登録商標(第5565518号)

 

箱根駅伝が始まったのは、今から90年以上も前の

1920年2月14日。

なんと、大正9年のことです。

第1回大会は、アメリカ大陸の継走での横断を実施するための

“代表選考会”という位置付けで行われました。

1912年ストックホルム五輪に

マラソン競技に出場した金栗四三氏(日本人五輪選手第1号)が

 途中棄権の悔しさを経験し、

「世界に通用するランナーを育成したい」

ということを願って、

関東地区の早稲田大、慶應大、明治大、東京高等師範学校(*現、筑波大)の

4校が出場したため『四大学校駅伝競走』の名称で、

第1回目が行われました。

 

実は、開催の経緯には、他にも説があります。

 

“飛脚制度”をもとに、手紙に見立てた襷(たすき)を、

東京から「宿駅」があった

鶴見(川崎宿)-戸塚(戸塚宿)-平塚(平塚宿)-小田原(小田原宿)

で引き継ぎ、箱根町郵便局(箱根宿)まで届ける

“観光イベント”だったという説もあります。

その目的は、箱根で観光客が少なくなる冬に観光客を呼びこみ、

2日間に亘って開催することで、

旅館やホテルに宿泊してもらうためだったともいわれています。

 

以後、第2次世界対戦で一時中断されたものの、

1947年に復活し、今年は『第93回大会』となりました。

 

今大会は、

青山学院大学の3年連続3回目の総合優勝で、

幕を閉じました。

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ここから

このたびのブログのテーマになります。

 

今大会が終わった先日、

あるテレビ局のスポーツ番組で、

箱根駅伝を取り上げていました。

 

各区を走るランナーたちは、

それぞれ20kmを超す長い距離を走りますので、

給水もポイントになります。

20年ほど前に始められ、今も続く給水。

 

実はこの(ランナーの身体を考慮した)給水制度導入の影には、

箱根駅伝最大の悲劇がありました。

第72回大会、未曾有の大事件が4区で起きました。

2キロ過ぎ、神奈川大学に異変が生じ、

そのまま神奈川大は6キロ過ぎで棄権、

そしてその後、山梨学院大学も12キロ時点で棄権と、

「“優勝候補”と目されていた2校が、同一区間で棄権する」

という事態が起こってしまいました。

 

今年の箱根駅伝で、

あの日、棄権したランナー神奈川大(*当時)の高嶋康司さんが、

母校の応援に駆けつけていました。

 

高校時代陸上部員として目立つ成績を残せなかった高嶋選手ですが、

練習熱心で粘り強いランナーでした。

そして、

無類の真面目さに惹かれた、当時コーチだった(*現)大後栄治監督が

神奈川大に誘いました。

 

大後監督は、高嶋選手(*当時)について、

「バランスもよく、伸びしろがあるかな」

と思ったと振り返ります。

 

高嶋選手は、もともと練習の虫で、

大後監督の育成方針が、それをさらに後押ししました。

 

当時を振り返り、

「やりすぎかなと思うことはあったが、

 やった分だけタイムも伸びて

 ライバルに勝てるようになるというのがあって、

 変調を感じるよりも、“結果が出る”ことが面白い」

と思っていたそうです。

 

スポーツ医学が、今ほど進んでいなかった時代です。

 

高嶋選手は、オーバーワークによる身体の摩耗と引き換えに、

激しい練習を重ねていました。

 

そして2年生の冬に、憧れ続けた箱根駅伝のメンバーに選ばれ、

4区を任されました。

 

しかし・・・高嶋選手の脚はもう限界でした。

 

そして大会当日のスタート直前に、

左足にかつてない激痛が襲い、

さすがに変調を感じ取った大後監督は、

選手の入れ替えを突きつけられます。

 

「エース級だった高嶋をこのまま送り出すか、

 まだ力量はないが元気な選手を送り出すかで迷い、

 『高嶋ならなんとかやってくれるんじゃないか』

 という誘惑に駆られてしまいました」(大後監督)

 

 

レース当日、

担当区間を走り始めた高嶋選手は

2キロに差し掛かった時に、とうとう歩き出し始めてしまいます。

 

大後監督は指導者として、

 「棄権するか」

 「レース続行か」

の決断を迫られました。

 

「当時チームの雰囲気は良く、

 ここで止めても引きずらず、乗り越えられるだろう・・・」

 

大後監督は、

6.3キロ付近で、ついに高嶋選手を抱き止めます。

 

この時点で、神奈川大の棄権が確定。

 

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しかし、

高嶋選手の努力を間近で知る仲間は、

誰も棄権したことを責めませんでした。

 

大会後、

『左足のスネを疲労骨折』

していたことが判明。

 

オーバーワーク(過度のトレーニング)が原因でした。

 

高嶋選手はこの後、

自分がやりたくても何も出来なくて落ち込む

“暗く、つらい時期”を過ごします。

 

一方、

大後監督は、

「何故もっと早く手を打つことができなかったのか」

と自分を責め、

高嶋選手の回復を待ちながら、

同時に、自らの選手育成方針を見直しを図りました。

 

具体的には、

部員たちの身体と心の監察をより徹底し、

 

加えて

「我慢は美徳ではない」

と選手に説き、

 

練習自体を

「量から質への転換」

します。

 

高嶋選手は、

心の傷とも闘いながら練習を重ね、

翌年の箱根駅伝で、重要区間の一つでもある9区に抜擢されます。

 

 

現在、20年前を振り返り、

大後監督は番組内で

 

「(高嶋選手に)

 前年の『トラウマを乗り越えてもらいたい』という気持ちがあった」

 

と語り、

 

高嶋さんは、その(大後監督の)インタビュー録画映像を見て、

 

「そこまで考えてくれたとは、改めて偉大な監督だった・・・」

 

と感極まっている様子でした。

 

 

1997年の第73回箱根駅伝

雪辱を誓う神奈川大は強く団結し、

9区の高嶋選手も前回棄権したトラウマなど、どこにも感じさせない力走をみせ、

区間3位。

 

神奈川大は、初優勝を果たしました。

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高嶋さんはこの特集番組の最後に語ります。

 

「あの時の成功体験、克服体験・・・

 “目的”、“目標”を持って

 『何のをやるのか?』

 というところが強烈に残っていて、

 それが今の生活や仕事に役立っている

 

 

 

『箱根には魔物が住んでいる』

 

 という言葉は、何度か耳にしたことがあります。

 

現に、リタイアするランナーをテレビで目の当たりにしたこともあります。

 

ただ、

そこにあった背景・・・

 

ランナー

コーチ

 

の葛藤や挫折

 

の詳細までは、知りませんでした。

 

 

コーチの

 

  ❶レース当日までの適切且つ、質の高いトレーニング

  ❷ レース直前の選手起用

  ❸ レース時の決断(判断)

 

この3つの大切さ

 

を改めて感じさせられました。

※「レース」を「ゲーム」に置き換えると、正にサッカーに通じます。

 

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そして・・・

 

陸上競技であれ

サッカーであれ

 

アスリートは・・・

 

『困難を乗り越えることで、

 手に入れる大きなものがあること』

 

その『大きなもの』とは・・・

 

正に人間力であり、

 

 

その高められた人間力は、

 競技を退いた先の生活や仕事、

つまり『人生』にも

大きく“プラス”に関与する

 

ということです。

 

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