アレグラン渡部のサッカーの素

愛知県東海市のスポーツクラブ "アレグラン東海” の代表の渡部貴朗が、自身のサッカー観を中心に、スポーツ、教育など気になることを素直に書いていきます!

マスコミも親も同じ

先日のキリンチャレンジカップ2017

なでしこジャパン日本女子代表)対 コスタリカ女子代表」

は3-0で、見事なでしこジャパンが勝利しました。

 

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大きく若返ったメンバーで、

中南米の新興勢力に完封で勝利したことは、

とても素晴らしいことでした。

 

なでしこジャパンは、

既に国外ではアルガルベカップ等の試合を行っていましたが、

国内では初の実戦。

 

 

今回の試合の雑感としては、

 

 ◯若手の台頭(活躍)が感じられた

 ◯守備ブロックが整い、ラインコントロールも上手くいっていた

 ◯GKを介したビルドアップも積極的に試みていた

 ◯中盤(ボランチ・サイドハーフ)から前線へ効果的な配球ができていた

 ◯エリア外からも積極的なミドルシュートが打てていた

 ◯パス&ムーブによる崩しがみられた

 

私的には上記のようなことを感じました。

 

これだけを見ますと・・・

 

 

完璧な試合運びだったように感じますが・・・

 

 

試合中のなでしこジャパンを指揮する高倉麻子監督の表情は、

 

あまり冴えませんでした。

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その冴えない表情の原因は、

 

試合後のインタビューで明らかになりました。

 

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(「うーん・・・まあ、あのー」というひと呼吸置いた後)

 

 前半の立ち上がりから・・・

 前半はちょっと、たくさんの方に応援に来ていただき、

 緊張もあって動きに硬さがみられたけれども、

 途中で交代で入った選手を含め、

 後半は、緊張も取れて良い連動の中で、良い形がつくれたかなと思います。

 

との言葉の後、

すかさずインタビュアーが

 

 試合中、監督はほとんど指示を出さず、

 選手たちを信じるような目でずっと見ているのが印象的だったのですが、

 どんなことを考えながら見ていたのでしょうか?

 

 まあ、やっぱり思ったような・・・

 攻撃・・・

 攻撃も守備もですけれど・・・

「形にならないな」と思っていたのですけども・・・。

 

 選手には時間が空いたときには、

 声をかけて「修正していければいいな」と思っていたけれども・・・

 まあ、その辺りも伝わり切れずにいましたけれど、

 結果的に勝つことができたので、それは一つの成果として捉えていきたいと思います。

 勝利という点は評価したいですが、内容というところでは・・・

 力強い試合というものをやっていきたいなという想いもあるので、

 まだまだこれから、上に向かってやっていきたいと思います。

 (*以上要旨になります)

 

 

この高倉監督の言葉は、決して謙遜して述べたわけではなく、

 

実は、試合を観た私も、同じような感想を受けました。

 

 

しかし・・・

 

ここからが本題です。

 

 

試合の中継は・・・

 

少し・・・

 

いや

 

大きく落胆させるものでした。

 

 

選手

 

 

監督

 

とにかく、

 

なでしこジャパンを褒めまくり・・・。

 

 

称賛の嵐でした。

 

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まず、実況。

 

試合開始から3分の1を過ぎた、

 

前半17分頃の一言。

 

 

「本当に✕✕さん、日本は今日は『ミスが少ない』といいますか

 足下の技術が高いというのが、伝わってきますね」

  ※××さんとは、このたびの試合の解説者の方です。

 

 

私が観た限りですが・・・

 

立ち上がりのこの時間まで、

 

日本のミスは、12回。

 

 

その内容の大半は

 

 ▲キックミス

 

 ▲トラップミス

 

などの“単純なミス”でした。

 

 

中継を担う放送席は、高い場所。

 

そこからピッチ全体を俯瞰し、

 

ゲームを観ながらマイクに向かっているはずなのに・・・

 

「どこを観ているのでしょうか?」

 

と疑ってしまう一言でした。

 

 

そして

 

最大の問題は、

 

解説者です。

  

 

スタメンのプレーヤーはもちろんのこと、

 

交代で出てくるプレーヤーにも、

 

これまた賛辞の嵐・・・。

 

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「すごーい」

 

「センス抜群」

 

挙句の果てには

 

女性解説者は

 

“選手の性格”まで誉めまくり・・・。

 

 

男性解説者に至っては、

 

選手の名前を「~ちゃん」という始末・・・。

 

 

これではまるで・・・

 

“居酒屋トークにしか過ぎません。

 

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「良い」、「上手い」、「素晴らしい」

 

など褒め言葉の数・・・

 

途中からあまりにも(失礼ですが・・・)耳障りでしたので

 

録画したものを見直しますと・・・

 

 

その日本代表への賛辞の回数、

 

前半では、

 

 男性解説者…24回

 

 女性解説者…33回

 

という数字に・・・。

 

 

後半、選手交代などでゲームに動きが出てくると、

 

両解説陣もさらにヒートアップ。

 

前半を大きく上回り、

 

男性解説者は35回。

 

女性解説者は、

 

なんと「57回」も・・・。

 

 

つまり、単純計算で45分間の内の57回ですから、

 

『後半は、1分に1回以上は褒めていた』

 

ということになります。

 

 

これはもう『異常』ともいえます。

 

 

確かに、後半の試合運びが良かったのは事実です。

 

 

しかし、公式記録では、後半も12本のシュートを放ちながら、

 

得点は2点どまり。

 

 

相手守備ブロックを崩しつつも、

 

シュートに至らず攻撃を終えてしまう。

 

また

 

フィニッシュで決めきれない、歯がゆい局面もあり、

 

決して、手放しで褒められたものではありません。

 

 

しかし、

 

解説陣はこうです・・・

 

(シュートに至らなくとも)

「これだけ崩せていれば良いですね」

 

「全員(↞語弊があり“前線のプレーヤー”)が走っていたのが素晴らしい」

 

 

また日本が

 

後半に相手に与えた直接フリーキックの数は・・・13。

(*参考:日本の後半の直接フリーキックの数は6)

 

『ファウルの数』が気になりました。

 

 

しかし、ここも男性解説者は

 

「ファウルでも気持ちをみせているのがいいね」

 

・・・です。

 

 

“ノーファウル”でボールを奪うこと

 

これが守備時の課題のひとつでもあると思うのですが・・・。

 

 

 

そして、さらに気になったのが、

 

“ご自身の出身チーム”のプレーヤーを褒めちぎること・・・。

 

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日本のことを本気で想うなら

 

さらに強くなって、

 

次のワールドカップでリベンジを果たして欲しいと願うなら

 

・・・

 

これでいいのでしょうか。

 

 

 

このたびの実況、ピッチサイドレポーター(アナウンサー)の方、

 

両名とも経歴上では、充分なサッカー経験をお持ちのようですが・・・

 

大丈夫でしょうか?

 

 

 

興奮しながら

 

「いやー上手いですね、✕✕さん」

 

の連続・・・。

 

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このテンション・・・

 

何か某テレショップの商品紹介のようで・・・

 

シラケてしまいました。

 

 

 

日本が目立つのは、云わば当たり前ともいえます。

 

世界ランキングは、

 

日本6位

 

コスタリカ30位

(*2017/3/24時点のデータ)

 

大きな開きがあります。

 

 

さらに、

 

日本はホームで

 

しかも、約1週間前(*4/3)からトレーニング開始。

 

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コスタリカは、試合前々日(*4/7)に到着し、

 

到着当日の午後と翌日の午後の

 

日本到着後から数えて計2回のトレーニングのみで、

 

試合に臨みました。

 

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時差、食事、宿泊面など、

 

どれをとっても日本は、圧倒的有利な条件が揃っています。

 

 

その中において、この3-0という結果は、

 

珍しい驚きとは、いい難いものがあります。

 

 

今回も解説を担当されたのは、

 

かの有名な男性解説者の方、

 

「『素人』であるテレビ観戦者と同じ目線で話すように心がけている」

 

とコメントされたことを耳にしたことがあります。

 

 

 

解説者といえども日本人・・・。

 

純粋に日本を応援する気持ちを持っていることも

 

解らなくはありません。

 

 

 

しかし・・・

 

本当に “それだけ”で、良いのでしょうか?

 

 

 

『日本が成長して欲しい』

 

と真に願うのであれば・・・

 

「それいけ」

 

「やれいけ」

 

「わっしょい、わっしょい」

 

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で、

 

対象者は、育つのでしょうか?

 

 

これが本当に、

日本のため、

“成長”につながるのでしょうか?

 

 

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真剣に考える必要があります。

 

 

ビジネス界でも教育界でも

 

「褒めて育てる、やる気にさせるコミュニケーションが最も効果的である」

 

というのが、

 

昨今のマネジメントスタイル(軸となる姿勢)となっています。

 

 

 

しかし・・・実情はそんなに甘くはありません。

 

 

褒めるだけの安易なマネジメントを実行すると、

 

『効果は出ないばかりか、恐ろしい結末』

 

が待っています。

 

 

「褒めてばかり、もういいよ(褒められ飽きた・・・)」

 

「何にも嫌なことなど言わないから楽勝だ」

 

といった、怠惰な人間をつくってしまうことが往々にしてあります。

 

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人は褒め続けられると、いつしかそれが慣れっこになり、

 

「自分の課題や弱点などに気づきにくい体質」

 

になってしまうのです。

 

 

むやみに褒めるだけでは、決して人は育ちません。

 

 

褒めるだけに終始したその末は、自律心のない人間が増え、

 

組織が崩壊してしまうことも、実際にはあるのです・・・。

 

 

 

褒められるということは、

 

確かに褒められる側としては気分が良いものですが、

 

何も考えずにむやみやたらに、

 

まして

 

“贔屓する気持ち”から褒めちぎる

 

のは、

 

「成長を阻害する以外の何ものでもない」

 

ということを肝に銘じなければなりません。

 

 

マスコミもそして、子を持つ親も・・・。

 

 

日本代表も

 

子どもも

 

 

人間は

 

“環境”によって

 

強くも弱くもなります。

 

 

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