子どもをより良く成長させる2本柱
前回ですが、
大切なことは、大人が『待つ』こと・・・です。
と書きましたが、
本日はその反対のような意味を書きます。
「大事なのは今日の結果ではなく、
明日子どもがどんなプレーをするかを楽しみにすること」
この名言は、あまりにも有名ですので皆さまご存じかも知れません。
そう、元日本代表監督イビチャ・オシム氏の言葉です。
深い言葉です。
同じような意味の言葉を・・・私は、4年前にある方からいただきました。
それは、愛知県サッカー協会主催のAIFAコーチングセミナーでした。
「種を蒔こう、そして収穫をしよう!竹の成長を例に」
忍耐力なしには彼らの成長を見守ることはできません。
種を蒔き、肥料をやり、何度も水をやっても、最初の数カ月どころか、最初の7年ほどは全く何も起こりません。
そして専門家ではなければ、自分は肥沃ではない種を買ってしまったのだと勘違いしてしまうでしょう。
しかし、来る8年目。
たった6週間でなんと30メートル以上の高さに成長してしまうというではないですか。
それではこの竹の成長は、6週間で為されたと言えるでしょうか。
いえ、正しくは7年間と6週間で成長したと答えなければいけません。
なぜならその竹は、最初の7年間は目に見える成長はないものの、地中にしっかり根を張り、7年後に大きく伸びる幹を支える準備をしていたのですから!
スペインサッカー協会でもインストラクターを務められた、
講師のアルベルト・イグレッシアス・ビジャ氏が、
日本の代表的な植物の竹の成長と人間の成長を重ね合わせ、
セミナーの最終日に私たち受講者に向けて
「子どもたちの成長を楽しみにしましょう」
と語られました。
『子どもの成長には、(子どもが成長するまで)大人がどれだけ忍耐強く待てるか』
ということ・・・
それがとても大切なカギになります。
一方、大人がただただ待つだけではなく、
“「仕掛ける」指導により、積極的に子どもにアプローチする”
という関わり方が存在するのもご存じでしょうか。
例えば植物の場合でも、ただほったらかしにしておいて、
きれいな花、大きな実がなることを期待することは、ムシのいい話です。
水、日光、温度、肥料など・・・丈夫に育てるには、
生産者がしっかりと生育環境を管理しなくてはなりません。
「育成のサッカーは、しつけである」
これは、JFAテクニカルアドバイザーを務められたクロード・デュソー氏の言葉です。
子どもをより良く育てるには、
大人の忍耐強さ、正しい導き(躾)の2つ。
「待つこと」と、「仕掛けること」・・・。
一見、相反する気持ちや行為のような気がします。
しかし、子どもの育成環境を考えた時、この2つは、自転車の前輪と後輪のような、
なくてはならない両輪です。
今回紹介いたしましたオシム氏もアルベルト氏も、
「ただ何もしないで明日や未来をひたすら待ちましょう」
ということではなく、
“「積極的に正しい働きがけながら、待ちましょう」という想い”
から発した言葉です。
子どもと大人の関わりについて、現在様々な考え方を耳にしますが・・・
この両方がなければ、「育成の成功は期待できない」
と、私は考えています。