機構の立ち位置
“機構”というむずかしい言葉ですが、「団体(独立行政法人など)、組織、またその組織の仕組み」を指します。
これをサッカーで考えますと、例えば・・・
になります。
さて前回、アスリートの不祥事について、プロ野球のことを中心に書きました。
それとはまた別件になりますが、またあるアスリートの不祥事を考えてみたいと思います。
先週の中頃、全日本スキー連盟(SAJ)が、大麻を使用していたということで、未成年2選手のスノーボーダーを除名しました。
そのニュース記事では・・・
~SAJは27日、昨年12月の米コロラド州遠征で大麻を使用していた未成年のスノーボード男子スロープスタイルで強化指定を受けている2選手に対し、競技者登録の無期限停止などの処分を決め発表した。SAJの調査で、1人は遠征中のパーティーで外国人から勧められたと認めた。1人は関与を否定したが、毛髪検査の結果、大麻の使用が判明した。
〈そのくくりに・・・〉
スポーツ界で頻発する不祥事。特にスノーボードは過去にも問題を起こしており、SAJの監督責任は重い。~
・・・とありました。
またSAJによると、会員登録無期限停止は最も重い処分で、開幕まで2年を切っている平昌五輪への2選手の出場について連盟幹部は、「将来ある選手の道を閉ざしたくはない」と苦渋の表情を浮かべ、「選手が更生したなら道を開くことも視野に入っている」としながらも、「無期限なので、ここで可能性のある、ないは判断できない」と言葉を濁しました。
さらに選手強化に専念するあまり、倫理的な教育が置き去りにされているとの批判については、「真摯に受け止めている。(スポーツ界に)決していい影響を与える話ではない」と述べた上で、「世界一になれば何でもいいとは思っていない。ただ、選手を365日管理することはできない」と、連盟の置かれた立場に悩ましい表情を見せたそうです。
前回も考えましたが、
「機構(今回の場合はSAJ)の『監督責任』は問われるものでしょうか?」
今回の場合、“該当者が未成年であったこと”は、ひとつのポイントになるかもしれません。
若者に日の丸を背負わすという、並の精神力ではやっていけないからこそ徹底した教育体制が必要。
そして、その指導者をも教育していく責任がSAJにはある。
と続きます。
その通りだと感じます。
ただ、
代表選手、プロ選手は、“高い自己管理”が必要になります。
誰に頼る、任せるではなく、『本人自身』です。
サッカーでは、自己管理を促すのは、Jクラブ側でしょうか?
それとも、代表チームを含めた日本サッカーの中枢であるJFAでしょうか?
どちらにも、自己管理等の教育や啓発は、必要ではあるかとも思います。
先のスノーボード元代表選手の見解では、最後に次のようにつづっています。
・・・今回、選手に対して無期限停止という処罰が与えられましたけど、
正直、他の対処は無かったのかな?と疑問に思います。
私たち大人は、子どもを守る義務があります。
この守るというのは、甘やかすわけでも、問題を無いものにする事でもありません。
その子の未来を守るのです。
選手としての限られたあっという間の期間、貴重な時間で無駄にはしたくありません。
大会に出場できないということは、その子の夢に大きく影響が及ぶのは、明白。
だからこそ、選手生命を奪うような処罰は与えて欲しくありませんでした。・・・
ますます話が難しくなりました。
整理してみましょう。
「SAJは、“代表チームをまとめる責任”」があり、「代表選手は、“国を代表している責任”」があります。
「SAJは、代表選手である以上、(年齢が何歳であろうが)その選手を適正に処分する必要」があります。
代表選手は、国を代表するという大変な役割を担っています。
だからこそ、有能なアスリートがその位置(国を代表して競技をする域)に達するまでの中で、『適切な働きがけ』を行い、“代表に相応しい人格”を育てていかなくてはいけません。
その使命は、誰にあるでしょうか?
そして、それを為す時期はいつでしょうか?
私は、“義務教育プレ期の園児”の時期から、“小学生から中学生までの義務教育期間”が、大きなカギを握っていると考えています。
ここでの育ち、経験は、とても重要であり、これが将来を左右するポイントではないかと思います。
代表に入った後(成人の年齢に達して)も、教育や啓発は必要であるのですが・・・。
しかし、大切なのは育成期。
この時期の子どもに関わる、親、指導者は、その責任と重要性をはっきりと認識するべきではないでしょうか。