アレグラン渡部のサッカーの素

愛知県東海市のスポーツクラブ "アレグラン東海” の代表の渡部貴朗が、自身のサッカー観を中心に、スポーツ、教育など気になることを素直に書いていきます!

自分 - サッカー

つい先日、育成年代の指導者である自分自身を省みる、ある機会がありました。

 

「“自分からサッカーを引いたら”・・・一体どのくらいの数値になるでしょうか?」

 

サッカーが人生の全てだ! と言い切りたいところですが・・・

この考えは、とても危ういことでもあります。

 

先ほどの問い・・・

【自分 - サッカー】

その答えが“0”に近いようだと、本当に大変です。

 

さて、3か月前のことになりますが、日本のプロサッカーリーグ “Jリーグ ”は、

今年Jクラブに加入する新卒選手を対象に、シーズン前の2月1日から3日まで『2016Jリーグ新人研修』を実施しました。

 

3日間に亘って行われたこの研修には、今シーズンより晴れてプロとなった100名以上の新卒選手たちが参加。

 

その一番最初が、“チェアマンからのメッセージ”でした。

Jリーグの村井満チェアマンが、

具体的なデータを示しながら、新人選手たちに熱いメッセージを贈りました。

 

その中でも選手たちにとって強烈だったのは、次のようなデータでした。

《データテーマ:2005年新卒新加入選手120人の10年後》

[出場試合数…人数] ←昨シーズンまでの10年間

0~50試合…49人

▲10年間での出場試合数は、『50試合以下の選手が3分の1以上』

 

さらに、データを掘り下げていきますと、

1年でJリーグを去った選手は12人

2年目で去った選手が11人

3年目で去った選手が14人

4年目以降9年目までで去った選手が36人

 

10年経って、続けている選手が47人

 

一方、「47人も続けているんだ・・・」と、感じられるかもしれません。

 しかし、半分より少ない数字。

▲新人Jリーガーは『10年後には半分以上が辞めている』

 

全120人のうち、

『0~50試合の出場にとどまった割合が最も高く』

そのうち21人が0試合

 

つまり、プロになったにも関わらず

『1試合もピッチに立てないままプロの世界を去っている』

現実があるということです。

 

この先は、Jリーグラボというテレビ番組での村井チェアマンの言葉(*要旨)です。

「入社式で社長は普通、『ようこそわが社へ』というところですが、

いきなり“辞める話”から入ったから、

希望に満ち溢れている選手の表情が、どんどん厳しくなってきた」

「“現実”を伝えたかったというよりも・・・」

という前置きの後、

『長く活躍した選手と、そうでなかった選手の違いは何なのか?』

そこを伝えたかった」

ということだったそうです。

 

その後、(村井チェアマンが)質問をした時に、新人選手の反応がなかったことに、憤ったそうです・・・。

 

その理由については、次のように語られていました。

「2005年にJリーグに入ってきた選手といえば、本田圭佑選手、岡崎慎司選手、西川周作選手(←日本代表の常連選手)がいます。

その“国際レベルで活躍できる選手”と、そうでない選手との違いがもしあるとすれば、それは何だったのだろう?と、

Jリーグ53クラブの強化担当、契約担当者に、克明なレポートを集めました・・・」

 

世界レベルの選手との違いは、一体何だったのでしょうか?(←この具体的な結果につきましては、また後日に…)

 

そこで、新人選手全員に尋ねたそうです。

「(プロ選手にとって)一番大事な能力とは?」

 

・・・・・・全員フリーズしてしまったようです。

 

なぜ、手が挙がらないのか?

なぜ、そこで押し黙ってしまうのか?

 

チェアマンは、それが納得できなかったそうです。

 

「止める、蹴る・・・また闘争心とか、身体能力とか、心技体の部分がずば抜けて高い選手がJリーグに入って活躍しているというわけではなく、Jリーグ(プロ)に入る選手はそれほど大差はない」

「むしろ・・・突き詰めていくと、『人間力』としか表現できないような(部分)」

 「人間力の高いレベルにたどり着くためには、

(このたびの新人研修会ような)少し緊張する場面でも手を挙げて、

『オレはこう思う』と言えなきゃだめじゃないかと・・・」

 

新人研修会の途中、そのようにチェアマンが諭すと・・・

何人かの新人選手が、手を挙げ始めたそうです。

 

JリーグラボMCが「そこで手を挙げる選手がいたら大したものですね」

というコメントに対し、チェアマンは、

「でもね、その(緊張する)中で、沖縄の選手だったかな・・・、ある選手が手を挙げてくれて・・・」

「その答えが合っていたかということは、別にして・・・(それが大切なことなのです)」

 

その後、さらに番組での会話は続きます。

 

「Jリーグのユース、育成世代は、(指導者は)サッカー、フットボールの技術は教えているけど、ジュニア、ジュニアユース、ユースと(一貫指導の中で指導者は選手と)ずっと付き合っていく中で、本当に人間力を高いレベルに上げる指導ができていたのか・・・反省させられる

 

MCの方が、このテーマのまとめとして、次のようにコメントされていました。

「(人間が)もともと持っている能力を、どこまで上げられるか、それは本当に“人間力”なので・・・」

「(一方)『この選手、そこまでやれたの?』という選手が出てきているのは、そういうハートを持った選手たち・・・」

 

ちなみに、スカパーで放送されています“Jリーグラボ”のMCは、ご自身も元Jリーガーで、現 北海道コンサドーレ札幌社長の野々村芳和 氏です。

 

突き詰めていくと、やはり人間力です。

 

本日は、ブログ開設からちょうど1か月です。

書き綴りながら、改めて感じたことは、『スポーツ、そしてサッカーは人間が、人間のために行うものである』ということです。

だからこそ、アスリートは、スポーツを行う自身の“人間力”が常に問われるのです。