熊本リスタート ~2016J2 第13節~
昨日、熊本のマグニチュード7・3の本震の発生から1か月を迎えました。
その一日前の5月15日、熊本を本拠地とするロアッソ熊本が、Jリーグの舞台に戻ってきました!
注目の一戦、テレビで観戦しました。
甚大な被害に見舞われた震災から、およそ1か月。
練習場が使用できず、避難所生活を余儀なくされた選手もいました。
いまだ被災地が混迷を極める熊本・・・。
しかし、中継画面からは、それを感じさせない力強いプレーを見ることができました。
90分を通して、熊本の選手たちの雄姿は、画面からも充分伝わってきました。
選手やスタッフも、正直なところ「サッカーどころではない」実情の中、そしてチームとして活動休止を強いられた苦しい中での、ロアッソの復活。
中継の中で、U-23日本代表 手倉森監督の言葉も紹介されていました。
手倉森監督は、2011年シーズンのベガルタ仙台で監督を務められていた時、あの東日本大震災に直面しました。
その要旨につきましては、以下の通りです。
「(東日本大震災が起きた)2011シーズンは、リーグ全体が止まった状態で、(言ってみれば)ある意味コンディション的にはイーブンでした。しかし今は(熊本地震では)、ロアッソだけ中断しています。ここから彼らだけがコンディションを作り直して戦わなければならないという試練が待っています。それはベガルタの時と全然状況が違うと思います」
試合の解説を務めていらっしゃった、山本昌邦氏(アテネ五輪代表監督で現日本サッカー協会技術委員会副委員長)は、放送内で次のように語られていました。
「過密日程、練習環境、そういった不利な点はあるわけですけれど、それが自分たちを成長するための過程だと考えることが大事だと思います。実際に苦しかった仙台が、あそこまで躍進したのは、間違いなく『気持ちの強さ』があったから。それを上手く活用して、伸ばした手倉森監督の手腕があった。“熊本の選手たちも、ぜひやってほしい”と思います」
また次のようにも語っていらっしゃいました。
「自分たちも被災者なので、大変な環境を背負っているわけですけれども、起きてしまったことは変えられない。『前を向いて未来をどう明るくするか』、ということです」
熊本の選手やチームが背負う苦労は、並大抵のものではありません。
日常生活、練習環境はもちろんですが、次節の“ホームゲーム”、FC町田ゼルビア戦はノエビアスタジアム神戸で、開催されることが決定しています。
(※日立柏サッカー場は柏レイソル、ノエビアスタジアム神戸はヴィッセル神戸のホームスタジアムですので、熊本とは遠く離れた場所の、いわば全く関係のないスタジアムになります)
中止になった試合5試合分は、これからのシーズン内で消化していくことになります。
これからも熊本のチームには、相当の困難が待ち受けていることには間違いありません。
しかし、前を向いて懸命にプレーする姿が、被災者はもちろん、日本全国に勇気を与えることにつながることと思います。
事実、私もこのたびのロアッソ熊本の試合を観て、「自分も負けていられない」という気持ちにさせられました。
今節の試合は敗れてはしまいましたが、次節以降も熊本の選手たちは、全身全霊を尽くしてピッチを駆け巡り、復興への希望となることは間違いありません。
がんばれ、熊本!!