免許や資格で大丈夫?
先回の記事の終わりに、
『全ては子どもたちの明るい将来に向けて』・・・
それを実現するために大人がすべき必要な努力・・・
“そのひとつ”が、免許や資格の取得ではないでしょうか。
と、まとめさせていただきました。
では、免許や資格は、
全てをまかなってくれるのでしょうか・・・?
もし、そうであるなら・・・
仮にも自身もライセンス保持者ですから、
ひとまず大丈夫になります。
しかし、人に物事を教えるということは、
そのように単純で、簡単なものではありません。
ところで現在、公益財団法人日本サッカー協会の指導者登録数を
調べてみましたら、以下の通りとなっていました。
●一昨年度(2014年度)…76,536人
○ 昨年度(2015年度)…78,570人
計算しますと、1年で “2,034人増加” していることになります。
さらに、12年前(←アテネ五輪の年)の集計では、
26,743人ですから、3つのオリンピックを経た後の現在は、
“約3倍近く” 増加したことになります。
*数字はS級からD級までのトータル人数です。
これは、とてつもない増加です!
ではこの12年間、日本がどれほど変化したか、振り返ってみたいと思います。
◇A代表
[FIFA ワールドカップの成績](※4年に1回開催)
本大会には1998年大会より、連続して出場。
2006年、グループリーグ敗退。2010年、ベスト16。2014年、グループリーグ敗退。
[代表のFIFAランキングの推移]
2004年17位→2005年15位→2006年47位→2007年34位→2008年35位→
2009年43位→2010年29位→2010年29位→2011年19位→2012年22位→
2013年47位→2014年54位→2015年53位⇒2016年7月現在57位
*2016年以外の数字は年末(12月)のものです。
W杯の成績も、FIFAランキングでも、成長は残念ながら実感できません。
一方、アンダーカテゴリー(育成年代)ではどうでしょうか?
◇Uー17(17歳以下)代表
[FIFA U-17ワールドカップ](※2年に1回開催)
6大会(※2005~2015)中、“2大会予選敗退”。
本大会に出場できた残り4大会は、2大会はグループリーグ敗退。
残りはベスト8とベスト16・・・2011年と2013年ですので、
近年結果が出た感を受けますが、昨年の2015大会は5大会ぶりにアジア予選で敗退。
◇Uー20(20歳以下)代表
[FIFA U-20ワールドカップ](※2年に1回開催)
6大会(※2005~2015)中、“4大会予選敗退”。
本大会に出場できた残り2大会は、ベスト16が2回・・・ただこれは、
少し過去の、2005年、2007年までの2大会での結果です。
2009年から昨年2015年までは、“4大会連続アジアの壁の前に倒れています”。
こぼれ話ですが、2007年大会の後の8月。次の2年後のU-20W杯本大会に向けて、
新チーム(U-18代表)は、静岡県で開催されたSBSカップ 国際ユースサッカーと、
宮城県で開催された仙台カップ国際ユースサッカー大会で、なんと全敗で最下位。
大会中、日本代表が、開催地代表の静岡ユースと、U-18東北代表にも敗れたため、
当時のウクライナU-18代表監督が、
『国の代表より、地域の代表の方が強いなんて不思議だ』
とコメントを残しています。
◇五輪代表(23歳以下)代表
五輪本大会には、1996年より連続して出場。
2004年、2008年共に、グループリーグ敗退。2012年は、4位。
そして、今年2016年は・・・???
大ざっぱにですが、日本の代表チームを振り返ってみました。
「 “日本代表の結果 = この国のサッカーの成長” には、一概に直結しません」が、
ひとつの指標にはなるかと思います。
ライセンス保持者の数の増加が、成長につながっているのであれば、
12年間で、何か変化があっても不思議ではありません。
現場レベルで大きく感じるのは、指導者が
「昔と変わらない考え方で行動している」
ことと、一方で、
「頭でっかちになっている」
という、いびつな現状です。
育成環境が問題であることは、痛感します。
この現状に関しては、簡単には説明できませんので、また改めて書きたいと思います。
次週、3回に亘って開催されてきました、東海市立保育園保育士研修会も
いよいよ5歳児(年長児)の回で最終回となります。
この研修会を通じて、100人ほどの保育士の皆さまとお会いします。
全員の方が、有資格者の皆さまです。
免許をお持ちの方で、実際に子どもたちの前に立たれていらっしゃる方への講義は、
大変やりがいがあり、その一方で緊張感を伴いました。
なぜなら、自身が伝えた事柄が、間接的に子どもたちに大きく伝わっていくからです。
伝える立場に立てば、自ずと責任が伴います。
改めて感じますのが、「自身が○○が好きだから・・・」だけでできるものでは、
ないということです。
伝える立場に立てば、何かしらの影響が必ず発生します。
その影響が、効果となって表れます。(プラスかマイナスかどちらにも・・・)
ただそれは、すぐには出るものではありません。
しかし、“必ず” 表れます。
だから、人の前に立つ側の指導者は、勉強しなければなりません。
指導者業に、“これ” という「答え」はありません。
勉強に「終わり」は、本来ありません。
私がこれまでの指導者人生の中で出会ってきました、優れた指導者の方には、
同じような共通した特徴があります。
それは、
◎物事、状況を良くしたいという意欲が高い
◎積極的である
◎謙虚である
◎オープンマインドである
◎非権威主義である
などです。
これらは、現在の私の生きる座標軸になっています。
「免許や資格で大丈夫?」というこのたびの記事のまとめをさせていただきます。
自身が良い指導者になるために・・・心がけていることとは?
①スポーツや教育に対して、興味、関心を持ち続けること
②知ったかぶりをせずに、「知らないことは知らない」と言うこと
③国内外を問わず、広く知られていることがあっても、
まるで自分のもののように言わないこと
(◎必ず自身の目で確認したり、調べたりして表に出すこと)
④外では『育成は大事だ』と言っておきながら、
実際は別な思惑(儲け、勝利や名誉欲しさ)で行動しない
⑤自分は一人の人間として、社会や周囲の方々の役に立つ(幸せに貢献する)
歳を重ねてくれば、現場での経験も自ずと増えてきます。
しかし、人の前に立つと、まだまだ自身が、
「いかに不完全か」ということに気づかされます。
私は、未だに他の人々から学ぶ “生徒” なのです。
人に物事を教えるということ・・・
この責任を自覚していれば、「現場でライセンスが必要である、なし」に関わらず、
自ずと必要な免許や資格の講習に出向くことでしょうし、
そして、(ライセンスを)取得した後も、学ぶことは止めないと思います。
それを実際に行動に移している方が、良い指導者なのだと思います。
極論になりますと、ライセンスがあるから良い、ないから悪いではなく・・・
子どもたちの将来のために、
どれだけやれるか、
“それ” が最も大切なことです。