大切な3つのコントロール…その1 “心”
良いプレーをするために必要なもの(要素)があります。
それは、『コントロール』です。
サッカーにおいて、一番分かり易い“コントロール”は、
「ボールコントロール」ではないでしょうか。
サッカーをあまりよく知らない方も含め、
誰が観ても分かるプレーヤーの「ボールのコントロール」の部分は、
ゲームの出来栄えを左右する、とても重要な要素を占めています。
次に、「身体のコントロール」です。
上手く身体を動かすこと、
身体が安定していること、
これらは、ボールコントロールを支える力でもあります。
そして、先回も書きました「心のコントロール」です。
(*ちなみに心はheart、mind、spiritなどの言葉がありますが・・・
ここでは感情的な意味での心(heart)の意味合いが強いでしょうか)
心が乱れてしまいますと、身体もブレ、技術もブレてしまいますので、
やはり私は、心の部分をまずは強調したいと考えています。
結局は、人間がしているのがサッカーであり、スポーツであり、
そして、人間の一生が人生だからです。
一昨日のニュースで、次のようなタイトル記事がありました。
“ジェイ先制弾もペットボトル投げ警告 名波監督「次は使いません」”
ジェイ、名波監督とは?
そのお二人は、静岡県磐田市をホームタウンとする、Jリーグに加盟する
プロサッカークラブ、ジュビロ磐田のプレーヤーと監督です。
ジェイ選手・・・本名ジェイ・ボスロイド選手は、国籍はイングランド。
昨年シーズン(当時)J2に所属していたジュビロ磐田に完全移籍で加入。
リーグ戦に32試合出場し、20得点を挙げ、リーグ得点王に輝きました。
今シーズンは、J1に昇格したチームの中で、14試合出場10得点。
※Jリーグ公式ホームページ参照:2016年7月30日時点
このジェイ選手の来日後の活躍はもちろんですが、
これまでの経歴も素晴らしいものがあります。
イングランドの名門、アーセナルの下部組織出身で元イングランド代表選手。
U-16を皮切りに、U-18、U-20、U-21と育成カテゴリーでの代表歴があり、
正真正銘の世界レベルのプレーヤーです。
ただ・・・そのような経歴を持ちながら、アーセナルのトップチームへの昇格は
ありませんでした。(*最初の契約クラブはコベントリーFC)
元イングランド代表で、現在テレビ解説者のマーティン・キーオン氏は、
ジェイ選手を次のように語っています。
「アーセナルの若手として必要なものをすべて持っていたが、
態度が悪く自信過剰な面があったことが、トップ昇格へ繋がらなかった」
あくまでこれは、第3者の評価ですが、これは今シーズンに入ってからも
2回報道がなされています。
ひとつが、先日のペットボトルを投げたことに端を発する警告。
二つ目は、6月にチーム内で生じた問題です。
私もJリーグを観戦する中で、ジェイ選手のパフォーマンスは、
「やはりワールドクラス」
と思わず、つぶやく場面が多々ありました。
フォワードプレーヤーとしての潜在能力の高さ・・・間違いなく素晴らしいものが
あります。
しかし、チームとしての和や規律を重んじる監督からは、外されてしまうシーンが
今シーズンに至っては2度あったわけです。
(◎自身の信念に基づき、チームづくりの本道を進もうとしている名波監督の姿勢は、
毅然としてとても立派です。自身は街クラブですが、監督して学ぶところがあります。)
ジェイ選手は一方で、ジュビロに加入したばかりの2015年3月8日に行われた
J2開幕戦、ギラヴァンツ北九州戦でマン・オブ・ザ・マッチに選ばれ、
その賞金10万円を、東日本大震災の復興支援に寄付。
さらに、6月6日の対ツエーゲン金沢戦での賞金も、同様に寄付。
そして、その6月の13日には、被災地も訪問したそうです。
ジェイ選手は、得点感覚に優れた、素晴らしいプレーヤーであると共に、
ピッチを離れれば、とても“nice guy”なのです。
だからこそ・・・感情(*心の面)のコントロールができれば、
さらにその評価が高まることと思うのです。
また、監督の方針から外されてしまうと、試合出場の機会は減少し、
それが「自らの行いによって、自らの活躍の場を奪う」という、
とても残念な結果が生まれます。
選手はチーム(監督)から、日々のトレーニングの中で
厳しいプログラムも、課せられるわけです。
そして、チームには方針があり、そしてそのチームの中でも競争が行われます。
時に、ままならない状況にも出くわします。
ですから、自らの心をコントロールすることも持っておく必要があります。
一方、闘いの場に出る、サッカープレーヤーに闘争心は必要です。
しかし、その“熱い状況下”においても、どこか“冷静な心”を備えておくことが
大切です。
技術面や肉体面だけでない部分、
感情面のコントロールを身につけることは、
「スポーツだけでなく、何事においても」
実はとても重要になってくることです。
育成期の子どもを持つ(指導する)大人は、その部分を正しく理解し、
目の前の子どもに向き合う必要があります。