アレグラン渡部のサッカーの素

愛知県東海市のスポーツクラブ "アレグラン東海” の代表の渡部貴朗が、自身のサッカー観を中心に、スポーツ、教育など気になることを素直に書いていきます!

UAE戦 あるシーンに出た明らかな日本の課題 ~守備面~

先に、UAE戦の攻撃面での課題となるシーンを取り上げました。

次は守備面について書きたいと思います。

 

(前回の記事の続きになります)

 

酒井宏樹選手のところで、相手と交錯した後のボールが、不運にもUAEの10番、

オマル・アブドゥルラフマン選手の足下に飛んでいきます。

 【※UAEの攻撃方向は向かって右から左です】

f:id:alegruntokai:20160906140509p:plain

UAEは一気に攻撃のスイッチを入れ、

2トップの1人、ストライカーの7番、

アリ・アハメド・マブフート選手にボールをつなぎます。

 

f:id:alegruntokai:20160906140635p:plain

マブフート選手は、日本ゴールに向かってトップスピードで、

アタッキングサード(*日本ゴール方向)に近づいていきます。

 ここでファーストディフェンダーの森重選手が攻撃を止めにいきますが・・・

 

f:id:alegruntokai:20160906140819p:plain

相手の勢いが優り、かわされます。

 次は吉田選手が止めにかかりますが・・・

 

f:id:alegruntokai:20160906140923p:plain

相手の切り返しのスピードが優り、

ドリブルのコースを変えられてしまいます。

 

そして、そのすれ違いざま・・・

反則と判定されるプレーが起きます。

 

このブログの目的は、審判技術を語るものではありませんので、

目的外の「審判の判定」に対してのことは控えます。

 

それよりも日本が課題とされている

 守備ブロックの弱さ

 カウンターへの対応

の2点が露呈したことです。

 

1対1の守備では、相手を必ず止めること。

1人よりも、2人で挟んでボールを奪うこと。

その基本になるのが、『ボールを奪いきることへの拘り』ではないかと思います。

 

 

そして次に、

後半6分25秒辺りからの日本の右サイド深い位置での守備です。

(*この10秒後に追加点の起点となるファウルが起きます)

【※UAEの攻撃方向は、前半と変わり向かって左から右です】

 

まず最初のUAEの左サイドのオマル選手が、

ゴールライン深くまでドリブルで進みます。

 

f:id:alegruntokai:20160906141323p:plain

この局面には、大島選手が初めは1人で対応していますが、

少し遅れ気味に香川選手がディフェンスに参加しますが、

守備2人(*大島、香川)対 攻撃1人(*オマル)の局面から、

簡単にボールを出されてしまいます。

 

f:id:alegruntokai:20160906141549p:plain

そのパスのボールを受けたUAE15番イスマイール・アルハマディ選手は、

ボールを受けると前方に積極的にドリブルをしかけます。

まず対応するのが酒井宏樹選手。

 

f:id:alegruntokai:20160906141823p:plain

次に大島選手、香川選手も守備に参加し、酒井選手と3人で、

アルハマディ選手を止めにいきます。

一度はボールを奪えたかに見えましたが・・・

 

f:id:alegruntokai:20160906142159p:plain

アルハマディ選手は、ボール奪い返し、さらに強引に縦にドリブルを進め、

その混戦の中でファウルが起き、PKとなります。

 

エリア内に侵入されると、守備側はPKを与える怖さが生じますので、

当然、思い切ったディフェンスはやりづらくなります。

しかし、この場面はボール保持者に対し、数的有利な状況でもありました。

ここでも、ボールを奪いきれない守備の弱さが、露呈しました。

 

その体を寄せるだけで、ボールを奪えないシーンが他にもありましたので、

動画を掲載します。

 

youtu.be

前半開始間もない時間(*4分過ぎ)、UAE13番ハミス・イスマイール選手に

ミドルシュートを打たれることになった、一連の場面をご確認ください。

[*動画内の時間…0:07 マブフートのドリブル 0:14 → 0:15 オマル → 0:17 マブフート →     0:19 オマル  → 0:20 イスマイールのミドルシュート

 

「体を寄せるだけで慌ててボールを失う」のは、

レベルの高くない相手だけであって、W杯がかかるような国際試合では、

『全く通用しない』ということを改めて思い知らされる結果となりました。

 

どうすれば相手の攻撃を止め、ボールを奪い取ることができるのか?

この辺りを、育成年代から改善していかなくてはいけません。

 

そして、UAEの攻撃から学ばなければいけません。

 

UAEが同点に追いつくプレーの起点になったFKを得るまでに

要した時間ですが・・・

⑩オマル選手がボールを受けてから、

⑦マブフート選手が倒される(シュート体勢に入る前)まで、

たったの“6秒間”でした。

 

パスは1本・・・“一気に”ゴール前に迫りました。

 

これが日本だったらどうだったでしょうか??

 

オマル選手のように、縦方向に速いボールを送るでしょうか?

マブフート選手のように、

パスコースを探すのではなく、

自分でシュート体勢に持ち込むことはできるでしょうか?

そして、相手が何人いても、エリア内に侵入し、ボールを進める勇気と迫力。

UAEのPKの起点となった⑮アルハマディ選手のドリブルは、

勝負を左右するプレーになりました。

 

相手にボールを持たせても、勝機とみると、一気に攻めることができるUAE。

見事でした。

そして、

マイボールになった瞬間、

そして球際で、

“常に戦う(Duel:デュエル)姿勢”を崩しませんでした。

 

しかし、このようなサッカーは、

ハリルホジッチ監督が目指していることではないでしょうか?

《攻撃の課題》

 1.デュエルが足りない

 2.縦に速い攻撃

 3.守られた相手を崩す

《守備の課題》

 1.守備ブロックの弱さ

 2.カウンターへの対応

 

これは、日本A代表が抱える課題であり、

それを解決するには、私たちが担う育成年代からの積み上げしかないと思います。

代表チームの課題は、これから育つ少年少女たちの宿題と肝に銘じて、

具体的に取り組んでいかなくてはなりません。

 

そして、しつこいようですが、誤審、中東の笛・・・などを論じる前に、

解決しなくてはいけない問題があります。

 

最後に、UAE2点目のファウルと判定されたプレーの直前の

日本選手の『ボールの持ち方』にご注目ください。

 

(PKの判定が出る直前のプレーです)

一度、相手の攻撃を止めて、相手より遠いサイドにボールが転がってきたのに・・・

f:id:alegruntokai:20160906143958p:plain

 

なぜ・・・左足インフロント部で

f:id:alegruntokai:20160906144151p:plain

 

相手がいる(自分から見て)「右側にボールを移動させた」のでしょうか?

f:id:alegruntokai:20160906144320p:plain

●右足が利き足だからでしょうか?

●“ダブルタッチ”が癖になっているせいでしょうか?

 

しかし結局、このひとつのボールの持ち方で、ボールは奪われ・・・

f:id:alegruntokai:20160906144502p:plain

PKにつながってしまいました。

 

ディフェンディングサード(*自陣)でのボールの動かし方・・・

さらに自陣ゴール前付近でのボールの持ち方は、

一つ間違えると大きな代償を払うことになります。

 

なぜ、ボールを失うのか・・・それにはきちんと訳があります。

 

育成年代から、これらの正しい意識づけと習慣は、

とても大切になってきます。