UAE戦 あるシーンに出た明らかな日本の課題 ~守備面~
先に、UAE戦の攻撃面での課題となるシーンを取り上げました。
次は守備面について書きたいと思います。
(前回の記事の続きになります)
酒井宏樹選手のところで、相手と交錯した後のボールが、不運にもUAEの10番、
オマル・アブドゥルラフマン選手の足下に飛んでいきます。
【※UAEの攻撃方向は向かって右から左です】
UAEは一気に攻撃のスイッチを入れ、
2トップの1人、ストライカーの7番、
アリ・アハメド・マブフート選手にボールをつなぎます。
マブフート選手は、日本ゴールに向かってトップスピードで、
アタッキングサード(*日本ゴール方向)に近づいていきます。
ここでファーストディフェンダーの森重選手が攻撃を止めにいきますが・・・
相手の勢いが優り、かわされます。
次は吉田選手が止めにかかりますが・・・
相手の切り返しのスピードが優り、
ドリブルのコースを変えられてしまいます。
そして、そのすれ違いざま・・・
反則と判定されるプレーが起きます。
このブログの目的は、審判技術を語るものではありませんので、
目的外の「審判の判定」に対してのことは控えます。
それよりも日本が課題とされている
守備ブロックの弱さ
カウンターへの対応
の2点が露呈したことです。
1対1の守備では、相手を必ず止めること。
1人よりも、2人で挟んでボールを奪うこと。
その基本になるのが、『ボールを奪いきることへの拘り』ではないかと思います。
そして次に、
後半6分25秒辺りからの日本の右サイド深い位置での守備です。
(*この10秒後に追加点の起点となるファウルが起きます)
【※UAEの攻撃方向は、前半と変わり向かって左から右です】
まず最初のUAEの左サイドのオマル選手が、
ゴールライン深くまでドリブルで進みます。
この局面には、大島選手が初めは1人で対応していますが、
少し遅れ気味に香川選手がディフェンスに参加しますが、
守備2人(*大島、香川)対 攻撃1人(*オマル)の局面から、
簡単にボールを出されてしまいます。
そのパスのボールを受けたUAE15番イスマイール・アルハマディ選手は、
ボールを受けると前方に積極的にドリブルをしかけます。
まず対応するのが酒井宏樹選手。
次に大島選手、香川選手も守備に参加し、酒井選手と3人で、
アルハマディ選手を止めにいきます。
一度はボールを奪えたかに見えましたが・・・
アルハマディ選手は、ボール奪い返し、さらに強引に縦にドリブルを進め、
その混戦の中でファウルが起き、PKとなります。
エリア内に侵入されると、守備側はPKを与える怖さが生じますので、
当然、思い切ったディフェンスはやりづらくなります。
しかし、この場面はボール保持者に対し、数的有利な状況でもありました。
ここでも、ボールを奪いきれない守備の弱さが、露呈しました。
その体を寄せるだけで、ボールを奪えないシーンが他にもありましたので、
動画を掲載します。
前半開始間もない時間(*4分過ぎ)、UAE13番ハミス・イスマイール選手に
ミドルシュートを打たれることになった、一連の場面をご確認ください。
[*動画内の時間…0:07 マブフートのドリブル 0:14 → 0:15 オマル → 0:17 マブフート → 0:19 オマル → 0:20 イスマイールのミドルシュート]
「体を寄せるだけで慌ててボールを失う」のは、
レベルの高くない相手だけであって、W杯がかかるような国際試合では、
『全く通用しない』ということを改めて思い知らされる結果となりました。
どうすれば相手の攻撃を止め、ボールを奪い取ることができるのか?
この辺りを、育成年代から改善していかなくてはいけません。
そして、UAEの攻撃から学ばなければいけません。
UAEが同点に追いつくプレーの起点になったFKを得るまでに
要した時間ですが・・・
⑩オマル選手がボールを受けてから、
⑦マブフート選手が倒される(シュート体勢に入る前)まで、
たったの“6秒間”でした。
パスは1本・・・“一気に”ゴール前に迫りました。
これが日本だったらどうだったでしょうか??
オマル選手のように、縦方向に速いボールを送るでしょうか?
マブフート選手のように、
パスコースを探すのではなく、
自分でシュート体勢に持ち込むことはできるでしょうか?
そして、相手が何人いても、エリア内に侵入し、ボールを進める勇気と迫力。
UAEのPKの起点となった⑮アルハマディ選手のドリブルは、
勝負を左右するプレーになりました。
相手にボールを持たせても、勝機とみると、一気に攻めることができるUAE。
見事でした。
そして、
マイボールになった瞬間、
そして球際で、
“常に戦う(Duel:デュエル)姿勢”を崩しませんでした。
しかし、このようなサッカーは、
ハリルホジッチ監督が目指していることではないでしょうか?
《攻撃の課題》
1.デュエルが足りない
2.縦に速い攻撃
3.守られた相手を崩す
《守備の課題》
1.守備ブロックの弱さ
2.カウンターへの対応
これは、日本A代表が抱える課題であり、
それを解決するには、私たちが担う育成年代からの積み上げしかないと思います。
代表チームの課題は、これから育つ少年少女たちの宿題と肝に銘じて、
具体的に取り組んでいかなくてはなりません。
そして、しつこいようですが、誤審、中東の笛・・・などを論じる前に、
解決しなくてはいけない問題があります。
最後に、UAE2点目のファウルと判定されたプレーの直前の
日本選手の『ボールの持ち方』にご注目ください。
(PKの判定が出る直前のプレーです)
一度、相手の攻撃を止めて、相手より遠いサイドにボールが転がってきたのに・・・
なぜ・・・左足インフロント部で
相手がいる(自分から見て)「右側にボールを移動させた」のでしょうか?
●右足が利き足だからでしょうか?
●“ダブルタッチ”が癖になっているせいでしょうか?
しかし結局、このひとつのボールの持ち方で、ボールは奪われ・・・
PKにつながってしまいました。
ディフェンディングサード(*自陣)でのボールの動かし方・・・
さらに自陣ゴール前付近でのボールの持ち方は、
一つ間違えると大きな代償を払うことになります。
なぜ、ボールを失うのか・・・それにはきちんと訳があります。
育成年代から、これらの正しい意識づけと習慣は、
とても大切になってきます。