スポーツをする真の目的を考える
ここ数回、日本サッカーの課題やゲームに勝つ技術に関して、書いてきましたが、
改めて押さえておきたいことがありましたので、
自分なりの『スポーツに対する想い』を整理して書きたいと思います。
スポーツは勝利を目指し、相手と競い合うものです。
ですので、「負けてもよい試合などない」と、そう思います。
それが
どのような年齢でも、
どのような相手でも、
それがたとえ練習試合でも・・・
同じだと思います。
以前、ある議員が「2位じゃダメなんでしょうか?」という言葉を述べ、
話題になりましたが・・・
やはり、1位は目指すべきです。
その姿勢が、
『より高いパフォーマンスを発揮しよう』ということにつながってきます。
そして、日頃のトレーニングでも、妥協はなくなると思います。
「負けてもいい・・・」
と思った瞬間に、行動そのものの質が、低下していくものです。
それは、人間が、元々(心の)弱い生き物だからです。
ですから、日頃から「2番以下でもいいや」という気持ちで、
行動すべきではありません。
ただし・・・
これは、あくまで“精神”として時間をかけて培っていくもので、
そのまま即座に子どもに「要求」してはいけません。
“負ければ、地獄行き”でしょうか?
“勝たなければ、引退”でしょうか??
それは、例えばプロの世界のことであって・・・、
育成年代で求めることでは決してありません。
なぜなら、
「子どもたちは、
『“結果”を出すためにスポーツをやっているわけではない』
から」です。
「では冒頭に述べたことと矛盾していませんか?」
との声が聞こえてきそうです。
「一体何が言いたいの?」
と感じられた方・・・もう少しご辛抱ください。
整理してご説明いたします。
『勝利を目指す』
『どんな試合でも全力で戦う』
『頂点を狙う』
これは、とても大切な意識です。
サッカー、スポーツに限らず、生きていくために重要です。
“生きる”ということ自体が、実は競争でもあり、
生涯、様々なことに負けないように自身を鍛え、努力することが求められます。
しかし、1位になることは、難しいことでもあります。
なぜなら、1位になれるのは、たった1つのチーム、競技者しかいないからです。
例えば、「10チームあれば、9チームは2位以下」ということになるわけです。
1位でなければ「ダメ」で、「カッコ悪い」となりますと、
一体何人、何チームがカッコ悪くなるのでしょうか?
子どもの頃から、偏った(誤った)価値観を植え付けられますと、
歪な人間性が出来上がってします。
試合は、勝てば官軍、負ければ賊軍ではありません。
さらに、不完全な状態で、結果に執着すると、
活動そのものの安定性に欠けてしまいます。
育成年代で、無理やりに1位を獲りに行くのは、リスクの高い行為ともいえます。
先に勝利を目指すメンタリティーの部分を書きましたので、
勘違いをなされた方もいらっしゃるかと思います。
日本は、長年勝利至上主義の考え方によって、
スポーツが歪められてしまった部分があります。
例えばわが子が
今日の運動会のかけっこで、足の速いAさんに負けて一着になれなかったら?
例えば自チームのBくんが、
今日の試合でゴールを決めることができず、
ゲームに負けてしまったら?
子どもたちが、負けることが許されなかったら・・・
大人は、わが子やBくんを、激しく叱責することになりかねません。
勝利至上主義の中においては、
プレーヤー(子ども)にとっては、結果を出すことが使命になります。
その観点(*勝利のみが正しい)から考えますと、
負ければ意味のないことをした、ということになるからです・・・。
ところで、スポーツは何のためにやるのでしょうか?
ここに『スポーツの真の目的』があります。
本来“スポーツ(sports)”とは、
ラテン語のdeportareとされ、
その意味は「ある物を別の場所に運び去る」
また「憂いを持ち去る」・・・ということになります。
そしてさらに、
古フランス語のdesportやdisport「気晴らしをする、遊ぶ、楽しむ」を経て、
現在の“sport”に至ったと考えられています。
少し難しい話に方向が逸れてしまいましたが、
「本来はスポーツは、『楽しむもの』」
ということです。
しかし、スポーツは単なる"お楽しみ"でもありません。
レベルが上がれば、
最後の勝負は、"人間力"で決まることが如実に分かります。
(「適当にやっていて勝てる」のは、『レクリエーション』だけです)
ですから、人間力を高める手段としても、スポーツは大きな効果があります。
教育としてのスポーツが、そこに説明できます。
スポーツは、なぜする価値があるのか・・・
それはたくさんあります。
その中でも・・・
次の“2つ”は重要です。
スポーツを真剣に取り組むことは
『身体を動かす楽しみ』を自然に感じることができます。
そして
『人間力が高まり』ます。
決して、
勝って虚栄心を満たすため、ではありません。
相手を打ちのめすため、でもありません。
そして、ことさら育成年代で、勝敗や順位目的で取り組むべきではありません。
先日のわが子の小学校の運動会を観て、大いに感じるところがありました。
スポーツに関して、
特に子どものスポーツの育成に関して、
多くの正しい認識を持った大人が増えることで、
日本のスポーツ文化は太く真っ直ぐに育ち、
育成ピラミッド(*競技レベル)の頂点に位置する代表チームも、
自ずと強くなるのではないかと感じました。