アレグラン渡部のサッカーの素

愛知県東海市のスポーツクラブ "アレグラン東海” の代表の渡部貴朗が、自身のサッカー観を中心に、スポーツ、教育など気になることを素直に書いていきます!

国際親善試合の意味を考える

今月初頭のW杯アジア最終予選

日本vs.イラク

2-1・・・

日本は大事なホーム第2戦目を勝利し、

勝ち点3を得ることができました。

 

しかし、

この勝ち点3・・・

ご承知の通り、後半のアディショナルタイム(追加時間)での

山口選手の劇的ミドルシュートでの得点で、

辛くも挙げた勝ち点。

とても危うい試合でした。

 

👇この試合に関して書きました記事は、こちらになります

alegruntokai.hatenablog.com

 

では、前回戦ったイラク代表との試合は、

どのような結果だったのでしょうか?

 

振り返りたいと思います・・・。

 

1年前、

国際親善試合であるキリンチャレンジカップ(@日産スタジアム)で、

イラク代表相手に4-0で勝利しています。

ホームの日本代表は、

序盤にFW本田圭佑 選手(5分)、DF槙野智章 選手(9分)が決め、

早々と試合の主導権を握ります。

さらにFW岡崎 慎司 選手(32分)、

途中出場で投入されたFW原口 元気 選手(84分)もゴール。

正に完勝でした。

当日(*1年前の親善試合)の、両チームのメンバーは以下の通りです。

【メンバー】

       日本代表

       イラク代表

GK 川島 永嗣

DF 酒井 宏樹

DF 吉田 麻也

DF 槙野 智章

DF 長友 佑都

MF 長谷部 誠

(76’ MF 谷口 彰悟)

MF 柴崎 岳

(85’ MF 山口 蛍)

MF 香川 真司

(66’ FW 原口 元気)

FW 本田 圭佑

(66’ FW 永井 謙佑)

FW 宇佐 美貴史

(66’ FW 武藤 嘉紀)

FW 岡崎 慎司

(73’ FW 大迫 勇也)

GK ジャラル・ハッサン

DF サマル・サイード

(46’ DF サメー・サイード)

DF サラム・シャケル

DF ドゥルガム・イスマイル

(88’ DF アリ・バハジャト)

MF レビン・ガリーブ・ソラカ

MF アブドゥル・アミル

MF サイフ・サルマン

(70’ FW フセイン・アリ・ワヒド)

MF フマム・タリク

MF アハメド・ヤシン

FW ジャスティン・メラム

(55’ MF ヤセル・カシム)

FW アムジャド・ラディ

(72’ FW マルワン・フセイン

 

日本代表のメンバーは、

一部、最近選出されていない選手もいますが、

ほぼ現代表チームの選手で構成されています。

もちろん、監督は現日本代表のハリルホジッチ監督です。

 

では、具体的なデータを比較してみたいと思います。

 

【データ】

キリンチャレンジカップ

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②W杯アジア最終予選

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◎データから分かる2つの試合の差

[スコア]

  ①4-0

  ②2-1

 ▲親善試合では、4ゴール無失点の勝利。W杯予選は、1点差の勝利。

[シュート数]

  ①日本:22本 イラク:3本

  ②日本:14本 イラク:10本

 ▲親善試合とW杯予選の本数の差は、日本は-8本、イラクは+7本。

[30mライン進入回数]

 ①日本:59回 イラク:13回

 ②日本:46回 イラク:27回

 ▲親善試合とW杯予選の回数の差は、日本は-13回、イラクは+14回。

    *30mライン進入について

     ・・・相手ゴールラインから30mのエリア、つまり“アタッキングサードへの進入回数”になります。

    反対に、対戦相手の「進入回数」は、自チームの『30mライン被進入回数』ともいえます。

 

これだけを比較しても、

同じカードでも、明らかに『練習』と『本番』の違いが浮き彫りになります。

 

実際に、両方の試合をご覧になれた方は、違いをはっきりと実感されたかと思います。

 

キリンチャレンジカップをはじめ、国際Aマッチデーに開催されます国際親善試合。

大半が、日本を応援する満員のサポーターで埋め尽くされたホームで実施。

さらには、

時差はなく(※海外組を除く)、食事、宿泊、トレーニング環境も有利な状況。

この中で、試合を行うことは、明らかに日本にアドバンテージがあります。

そして、“カップ”とはいえ、

『ワールドカップ、またその予選とは緊張感が明らかに異なります』。

その中で、本当の強化は可能でしょうか?

 

昨年の国際親善試合イラク戦後の監督のコメントです。

~ ヴァイッド・ハリルホジッチ 監督 ~

かなりスペクタクルで良い試合をしたと思います。

選手は速さがあり効果的で、DF陣も素晴らしいポジション取りでしたし、

攻撃のいくつかの動きはかなりハイレベルでした。

少し慌てた場面もありましたし、もう少し点も獲れたかと思いますが、

この勝利には満足すべきでしょう。

予選へ素晴らしい準備になりました。

交代選手も出来るところを見せてくれたので、競争は高くなっています。

選手にブラボーと言いたいですし、観客の素晴らしい応援にも御礼を言いたいです。

選手は私が要求したことをやってくれていますが、

ここで満足せず、もっと良くなると思います。

 

もし、本当に“素晴らしい準備”になったのであれば・・・

先日のW杯最終予選のような、苦戦は強いられなかったと思います。

 

選手各々、ケガも心配です。

親善試合で“本気”を求めるのは、

難しいことは理解できなくはありません。

また一方、

予算や自国ファン層拡大を考えますと、

国内開催が望ましいのも理解できます。

 

しかし、

せっかくの強化目的の試合が、

(相手側にとって)日本観光のついでになってしまっては・・・

全く意味がありません。

 

代表チームを「真に鍛える」ならば、

親善試合も、積極的に相手国に出向いて試合を行うべきかと思います。

 

私自身が大切にしていることがあります・・・。

 

それは、

物事を為す際に、必ず理由や目的を明確にすることです。

事(*企画、団体など)が大きくなればなるほど、

“しがらみ”が出てきます。

 

例えば、

「それでは元が取れないだろう」

といった利潤を追求することを考え始めると、

とたんに、その(活動の)方向性はズレてきます。

お金がポイントになってしまいますと、

本来の活動の目的から、気づけばどんどん離れていってしまいます。

 

それが、代表チームの強化であれば・・・。

結果は隠すことなく、表面化していきます。

 

ここで述べたいのは、

大きなスポンサーさんを否定することではありません。

 

『本当に大切なことは何か?』

ということを、もう一度考える必要があるということです。

 

日本が強くなって欲しいと願うなら・・・

(我々のような育成年代のクラブでしたら)

 子どもたちを真に強い子に育てたいと願うなら・・・

 

  お金でもなく、

  イメージでもなく、

  人気取りでもなく、

 

日頃からの

『本質から外れない、ブレない活動』

を続けることが大切です。

 

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