昇格・降格・・・プロと育成年代の区別
Jリーグ、2016シーズンも終わりを迎え、
今週火曜日(11/29)と土曜日(12/3)の
「明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ」2試合の結果で、
今シーズンのJ1制覇の栄誉に輝きます。
また現在は、来シーズンのリーグに向け、
「J1昇格プレーオフ」
と
「J2・J3入れ替え戦」
が行われています。
そして、ここ東海地方では、大きな動きがありました。
清水エスパルスのJ1への復帰。
そして、
オリジナル10のひとつ、
名古屋グランパスが最終節で敗れて、
来季のJ2降格が決まりました。
歓喜と落胆・・・
これも
「Jリーグの発展」
「日本サッカーの強化」
には、致し方ないことでもあります。
JSL(日本サッカーリーグ)時代から
サッカーを追いかけている自身としては、
改めて『大きな日本サッカーの環境の変化』を感じます。
現在の国内プロサッカーリーグであるJリーグの構成は、
J1、J2、J3の3部構成。
J1は18、
J2は22、
J3は13(*+J1、J2中のU-23の3チーム)、
合計53クラブが、
“Jリーグ”として、しのぎを削っています。
「上のカテゴリーに昇格したい」
「下のカテゴリーに降格したくない」
この意識、
つまり
“切磋琢磨”が、
プレーヤーとクラブを鍛えています。
さらに、
ファン、サポーターと苦楽を共にする(意識を共有する)ことで、
“地域のサッカー文化”の根付きを強めています。
昇格、降格が背景にある真剣勝負は、
日本サッカーの成長に間違いなくつながっています。
👆明治安田生命J2リーグ第42節(最終節) FC岐阜vs.東京ヴェルディ [@長良川競技場]
ただ・・・
これらは、“あくまで”プロの世界。
興行の面からも、これらの昇格・降格争い、チャンピオンシップ・・・
必要なことでもあります。
ちなみに、
今年のJリーグカップ(ルヴァンカップ)を制した浦和レッズは、
その「優勝賞金1億円」を獲得しました。
しかし・・・
これ(この考え方)を、育成年代に求めて良いものでしょうか?
来年プリンスリーグに降格するチームが事実上、3チームに絞られているEASTに対して、
5チームが残留を争っていることもWESTの特徴です。
現在、降格圏に沈む9位の名古屋グランパスU18(愛知)と10位の大分トリニータU-18(大分)は
ともに中位チームまたは下位チームとの試合を残しているため、
ここから順位が入れ替わる可能性は十分残っています。
タイトルレースはもちろん、残留争いも最後まで目が離せない戦いが続きそうです。
※JFAホームページ(2016年11月21日)より
日本の高校生年代のサッカーにおいては、
近年まで、高等学校のサッカー部が中心的役割を担ってきましたが、
Jリーグの開幕を皮切りに、
学校という単位に縛られないクラブユースチームも大きく成長してきました。
そして一方、それまでの日本の学校単位の部活動では、
試合大会形式はトーナメント方式が主であるため、
「“まず負けないこと”が最大の課題」であり、
それが、
「あらゆる面で“育成年代の成長を阻害する”おそれがある」
と、指摘されていた長年の問題点でもありました。
その育成年代の成長を憂慮した末に生まれたのが、
学校、クラブの垣根を越えたリーグ方式の大会でした。
現在、高校生年代では、
全国リーグであるプレミアリーグをトップに、
さらに県リーグ、県内地区リーグと細かくランク分けされ、
技量に応じて、区別、整理された
「素晴らしい育成システム」であるように感じます。
ただ・・・実際は、
(特に上位リーグになればなるほど)そのリーグ間の昇格、降格などが、
“世間の話題や注目の的”になり、
本質にあるはずの
『育成(◎個々のプレーヤーの成長)』
が、置き去りになってしまっているように感じる時があります。
その原因をつくっているのが・・・
『大人』・・・つまり、親や指導者であるような気がします。
(それは、試合を観戦に行くと分かります)
誰しも、わが子、わがチームが、
ひとつでも上のリーグでプレーして欲しいものです。
しかし、
星取表を勘定しながら
「昇格だ」
「降格だ」
と、“チームの順位” にやっきになっています。
この流れ(考えや意識)は、当然子どもたちにも波及します。
つい先日、非常に残念な声を耳にしました。
「〇〇は2部に落ちそうだからイヤだ・・・」
この言葉とは、
クラブを愛するが故に、思わず出たサポーターの方の言葉ではありません。
(真のサポーターであるならば、この言葉はありえませんが・・・)
しかし、
情けないを通り越し、呆れかえってしまうのが・・・
この言葉が、
下部組織(小学生スクール)に通われている保護者さんの言葉だったからです。
つまり・・・
自分の子どもが通っているスクールのトップチームが、
J1でないことが嫌だということです。
・・・
呆れるばかりでなく、怒りすら覚えます。
『誰が、誰のためにするサッカーでしょうか?』
このご家庭の場合、
お子さんがサッカーをすることは、
明らかに親の優越感、自己満足のためであり、
子どもの成長のためのサッカーではありません。
「わが子は、〇〇でサッカーをやっています」
このようなかたち(意識)で、
子どもにサッカーをさせていらっしゃるケース・・・
多いように感じます。
昇格や降格、大会チャンピオン・・・
それら「競争」を、観る者が楽しめるのは、
その対象が、あくまで職業としてサッカーに取り組む
“プロのアスリート”だからではないでしょうか。
まだまだ人間としても完成しきれていない、
小学生はもちろん、中学生や高校生に、
大きな荷物を背負わせた先、
果たして「何」が生まれるのでしょうか?
大切なことは、
じっくりと “アスリートとしての下地” をつくること。
すなわち、
正しい技術の習得
そして、
人間力を高めること
です。
さらに、
成長期に身体を壊さない
こと。
甘やかす
わけではありません。
未来の宝を育てるための、
大人として必要な大切な意識です。
もちろん・・・“今”は大切です。
ただ、その“今”の積み重ねの先に、
「本当の勝負をする『未来』が待っている」
のです。