一瞬を大切に生きる
多くの方が、既にご承知のことかと思いますが、
現地時間11月28日にコロンビアのメデジン近郊で起きた航空機事故で、
ブラジルのサッカークラブ「シャペコエンセ」の
主力プレーヤー、コーチングスタッフ、チーム関係者、
そして同行した記者陣、計70名以上の方々の尊い命が失われました。
事故当初、墜落現場では火災が発生しなかったことから、
過去の例からみて、燃料がほとんど残っていなかったことが示唆されていました。
また、本来ブラジルからの直行便だったはずの飛行機が、
経由便になったことなど、様々なトラブルが重なったとも伝えられています。
そしてその後、墜落事故の原因は、燃料切れと断定されました。
操縦士は管制塔に対し、
「燃料が残り少ないので優先着陸させてほしい」
とのメッセージを送ったのですが、
ジョゼ・マリア・コルドバ国際空港の管制塔は、
燃料漏れを起こして緊急着陸を要請した別機、
ヴィヴァ・コロンビア社のFC8170便の着陸を優先させたことで、
事故機は旋回しながら着陸許可を待機。
着陸許可が出るまでに約15分かかり、燃料消費に繋がったとのこと。
〈※ニッケイ新聞社の記事を参照〉
一行は、11月30日に開催される南米サッカー連盟 (CONMEBOL) が
主催するクラブチームのサッカー国際大会
「コパ・スダメリカーナ」の決勝に出場する予定でした。
アソシアソン・シャペコエンセ・ジ・フチボウ (Associação Chapecoense de Futebol) 、
通称シャペコエンセ は、ブラジル南部のサンタカタリーナ州シャペコが本拠で、
同国全国選手権1部に所属。
これまで、カンピオナート・カタリネンセ(サンタカタリーナ州選手権)を3度制覇。
今シーズンは、
日本でも指揮を執ったことのあるカイオ・ジュニオール監督の指揮の下、
コパ・スダメリカーナ2016では、クラブ史上初の決勝に進出。
この南米ナンバー1を決める試合の、決勝1stレグを戦うため、
対戦相手のコロンビアのアトレティコ・ナシオナルのホームである、
メデジンにに移動する際、この事故に遭いました。
(*クラブチーム、南米ナンバー1を決める大会として“コパ・リべルタドーレス杯”がありますが、
欧州の“UEFAチャンピオンズリーグ”をこれに例えますと、
「コパ・スダメリカーナ」は、「UFAヨーロッパリーグ」に相当するといえます)
シャペコエンセとアトレティコ・ナシオナルの2チームによって争われるはずだった
コパ・スダメリカーナ2016の決勝戦。
試合は延期となっていますが、開催はきわめて困難な状況となっています。
アトレティコ・ナシオナル側は、タイトルを譲る意思も明らかにしていましたが、
南米サッカー連盟も、これを受理する方向であるそうです。
(*コパ・スダメリカーナの優勝チームには、翌年のコパ・リベルタドーレスの出場権も与えられます)
また、コパ・スダメリカーナの王者は、
毎年日本でルヴァンカップ(旧ヤマザキナビスコカップ)の優勝チームと
スルガ銀行チャンピオンシップを戦っていて、来年も開催予定です。
(*開催時期は、J1リーグの中断期間中の7~8月です)
仮にシャペコエンセがタイトルホルダーとなれば、
来日し、浦和レッズと試合を行う可能性もあります・・・。
このたび事故に巻き込まれた中に、
MF アルトゥール・マイア選手(元川崎フロンターレ)
MF クレーベル・サンタナ選手(元柏レイソル)
カイオ・ジュニオール監督(元ヴィッセル神戸)
Jリーグで活躍されたアスリート、コーチが含まれていました。
搭乗していた乗客、乗員77名のうち71名が命を落としました。
事故後に行われた最初の救助作業では、
選手3名を含む6名が現場から救出されたものの、
そのうち1名も病院で亡くなりました。
言葉にならない、
本当に居た堪れない気持ちになります。
慎んで哀悼の意を捧げます。
このたびの出来事・・・
誰が予見できたでしょうか。
少なくとも、搭乗していたチーム関係者は、
全く想像することなく、
決勝戦に向け、勝利を想像しながら、
アウェーの地に向かっていたことでしょう。
ところで、
いざ、自クラブも含めた日本の子どもたちに目を向けてみますと・・・
「明日があるや」
といった気持ちで、サッカーをやっているような気がします。
実際には・・・
子どもたちにとっても私たち大人にとっても、
明日はありますし、
特に子どもたちにとっては、
明日がないといけません。
ただ、
「まあいいや」
「なんか面倒くさいな」
「他に変わろうかな」
といった気持ちでサッカーをやること
・・・
『もったいなくないでしょうか?』
好きなサッカーをするために
●用具を揃えてもらい(買ってもらい)
●グラウンドまで運んでもらい(送迎してもらい)
●専門コーチに教えてもらい(指導者費を出してもらい)
たくさん援助をもらい・・・
それなのに
「今日は寒い(暑い)からやりたくない」
「難しいからもういいや」
は、ないと思います。
そのような子どもの様子をみて、
「合っていないようだから、“次” は、他のクラブに変わろうか・・・」
「むいてないようだから、“次” は、他のことをしようか・・・」
となってしまいがちな雰囲気・・・。
その “次” というのは、本当にあるのでしょうか?
Da ora combatte né per il prossimo e non è qualificato per parlare del futuro.
「今を戦えない者に、次や未来を語る資格はない」
・・・
これは、1993年度、欧州年間最優秀選手、FIFA世界年間最優秀選手を
受賞した“イタリアの至宝”、元イタリア代表⑩ロベルト・バッジョ氏の言葉です。
繰り返しますが、このたびの飛行機事故・・・
一体誰が想像できたでしょうか。
命を落としてしまった方々・・・
選手も指導者も、もっともっとサッカーで夢を追い続けたかったことでしょう。
しかし、
その想いは、儚くも閉ざされてしまいました。
このような事故は、稀だから・・・
と私は決して思えません。
自身の明日(人生)を保証されている人は、果たしているのでしょうか?
限りある人生・・・
だからこそ、
『この一瞬を大切に生きなければいけない』
と思うのです。
一瞬、一瞬・・・
つまり、今を一生懸命に生きることは、
命に感謝することにもつながります。
今日も地区協会関連の教室で、
子どもの言葉を耳にしました。
「こんなの無理・・・」
「休憩したい・・・」
「もう疲れた(飽きた)・・・」
子どもたちの口から出る、このような言葉をなくすためには・・・
大人自身が、“生きていることの大切さ”にもっと目を向けて、
そのこと(その精神)を子どもに伝えていかなくてはなりません。