アレグラン渡部のサッカーの素

愛知県東海市のスポーツクラブ "アレグラン東海” の代表の渡部貴朗が、自身のサッカー観を中心に、スポーツ、教育など気になることを素直に書いていきます!

一人前になる時間の必要性(努力はダサい?)

サッカーの素の更新を少しお休みしておりました。

 

申し訳ございませんでした。

 

 

暫しの充電期間の間、

 

いろいろなニュースがありました。

 

 

その中、

 

自身にとっては、子どもに関連する

 

“残念な”

 

ニュースもありました。

 

 

 

このたび取り上げたいのが、

 

職人養成学校について

 

です。

 

 

ある報道番組で、熟練が必要とされた職人の世界に変化が起きているとし、

 

“3カ月間の養成”で、すし職人になった、

 

大阪市のとあるすし店の女性店長を紹介したところ・・・

 

 

インターネット上で、物議を醸しました。

 

 

 

その問題のシーンは、某民放テレビの報道番組内の

 

“経済の身近なニュース”をピックアップするコーナーで出てきました。

 

 

「3カ月で『すし職人に』。どうやって?」

 

 

というテロップが流れ、大阪市の某すし店の紹介がありました。

 

 

何とその店の店員の8人全員が、

 

3カ月間の研修で「プロ」になったそうです。

 

 

そして、この店は「コストパフォーマンスが良い店」として、

 

ミシュランのビブグルマンにも掲載されたそうです。

 

 

問題のシーンとは・・・

 

女性店長が、すしを握る様子が映されたのですが、

 

そこで店長は、

 

 右手で自分の髪を後ろに掻き上げる仕草で“髪に触り”、

 

 その手をまな板上のタオルに一触り置いた後、すしを握り始めました。

 

さらに、

 

 まな板の上の包丁の向きも、

 

 “包丁の刃”が女性職人の方を向いて置かれていました。

 

この2点に大きな過ちがあると、ネット上で指摘される事態になりました。

 

 

3カ月で技術を習得できる可能性がある反面、

 

「職人としてのマナーやルールができていない」

 

ことに、大きな批判が起こりました。

 

 

髪に手を触れることについては、衛生上大きな疑問があるのは理解できます。

 

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では、包丁はどうでしょうか?

 

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一般的な、包丁の基本的な使い方や動かし方については、

 

「包丁を使っていない時は、刃先を自分に対して“外側”に向ける」

 

ということがあり、

 

実際の職人の方の意見も(包丁をどのように置くかは決めていないものの)

 

「刃を自分に向けて置くことはめったにない」

 

ということです。

 

 

危険性の面から考えますと、当然ともいえます。

 

 

 

ところで、

 

すし職人という、云わば特殊な技術を要する仕事を

 

3カ月で養成することは可能なのでしょうか?

 

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実際の養成学校の話(触れ込み)は、どうでしょうか?

 

 

ちなみに、こちらの学校は、

 

すし職人だけでなく、飲食業を志す方向けに様々なコースがあります。

 

この学校のねらい、趣旨については、以下の通りです。

 

 

 飲食業界の現場で働く人の視点で、

 

 現場で通用する技術を短期間で修得することを目的に設立。

 

 一般的な1年制の調理師学校のカリキュラムを「現場実践」というキーワードで

 

 一から見直すことにより、

 

 短期間で、現場で通用する技術を修得できる短期集中型のプログラムを開発。

 

 3カ月の学びでキャリアアップや自信に繋がる技術の向上は、

 

 「貴重な3カ月」となることをお約束します・・・

 

 

とあります。

 

 

そして、今回問題に挙がったすし職人の専門課程の特徴はどのようなものでしょうか?

 

 

それは、次の3つ・・・

 

 ①現場で役立ち&即実践可能な、基礎応用技術を実技で修得できる

 ➁コアスキルである魚のさばき方や適切な保存方法、仕入れ、目利きを学べる

 ➂現場、お店づくりで重要なことから、経営全般についてまで学べる

 

 

これで、現場での諸々の実践が可能になるという仕組みです。

 

 

“ウリ”は、完璧です。

 

 

3カ月の短期間で、

 

ここまではっきりとしたスキルが身につくなら、

 

職人になりたい意志が強い人であるならば、

 

お金を払っても受講してみたくなりますし、

 

マスコミもその実態を取材してみたくなります。

 

 

それが、このたびのテレビでの一コマだったと思います。

 

 

 

話題が少し逸れますが、

 

自クラブも運営(*財政面)が苦しい状況は依然変わりありません。

 

その中、過去にコンサルタントの方に思い切って相談したことがあります。

(…勿論、初回の無料相談です)

 

その中で、コンサルタントの方から、“ウリ”という言葉が頻繁に出てきました。

 

確かに、集客するためには、

 

人が振り向く、

 

手をつけたくなる動機となる、

 

『より具体的な何か』

 

は必要です。

 

 

ある別のコンサルタントの方は、インターネット上で、

 

『キラーワード』

 

という言葉を使っています。

 

 

 『売り』・・・セールスポイント

 

 『殺し文句』・・・引き付ける言葉

 

 

これらは商いをする上においては、留意することかと思います。

 

 

情報が氾濫する社会です。

 

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その中で、一瞬で相手の心つかむ文言は、

 

このポイントが、人を集める側には最重課題なのかも知れません・・・。

 

 

 

本題に戻りますと、

 

調理師免許もなければ、料理教室にも通ったことのない

 

自身でも分かることがあります。

 

 

 衛生面の管理

 

 安全面の管理

 

この2つは、当たり前のことではないでしょうか。

 

 

食品を提供している、

 

しかも鮮魚という劣化が早く、貯蔵が難しい食材を提供している側にとっては、

 

『衛生面の管理』

 

は、最重要課題ではないでしょうか。

 

 

品質は気候、天候にも左右されるため、

 

厳格な「温度管理」や「迅速さ」が求められ、

 

その扱いや仕入れには、技量と熟練が必要とされます。

 

・・・

 

しかし、このたびの3カ月習得可能な学校のウリに、

 

 コアスキルである魚のさばき方や適切な保存方法~

 

という文言がありましたが・・・

 

「食中毒などの食品劣化」については、

 

学んでいない(習得していない)ということでしょうか?

 

 

 

『安全面の管理』

 

は、危険なものを扱っている、危険を孕んだ状況で仕事をしている者にとっては、

 

当たり前に考えることではないでしょうか。

 

 

 

“ヒューマンエラー”という言葉がありますが、

 

「人間である以上必ず失敗 (エラー) は起こり得る」

 

という観点に基づいた対策を講じる必要があるはずです

 

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ここも押さえていなかった(教わっていなかった)ということでしょうか??

 

 

 

 

すし職人が一人前になるには、

 

「飯炊き3年、握り8年」の“修行”

 

が必要といわれています。

 

 

この説を推奨するブログ記事に対して、某実業家の方はSNSを介して

 

 バカなブログだな。

 今時、イケてる寿司屋はそんな悠長な修行しねーよ。

 センスの方が大事 (*本文そのまま)

 

と発言されました。

 

 

これに関して、

ある有名なお笑い芸人の方が

民放トーク番組内で、(この氏の発言に関して)自論を述べられました。

 

 ◯◯さんの言っていることは何も間違っていないと思います。

 

と共感した上で、

 

 間違ってないんですけど、モヤモヤっと何でするんやろうと思うと、

 たぶん、この人がすしの皿を一枚も洗ったことがないからだと思うんです。

 

と、これまた独特の観念でコメント・・・。

 

そして続けて、

 

 すし職人の名人といわれる人が、全く同じセリフを言ったら誰も何も文句もない。

 気持ち良く聞けるんですけど。

 たぶん言う人が違うんやろうなと。

 セリフは間違ってない。

 

とコメントされました。

 

 

このお笑い芸人の方も、先の実業家の方も、

 

有名な方です・・・。

 

 

したがって、このお二人とも、その道で出世した人であることは間違いありませんし、

 

 

才覚のある方なのでしょう。

 

 

 

まず、切り分けたいのが、

 

 

世の人間、全て平等にセンスがあるのでしょうか?

 

 

センスと似た言葉に、才能があります。

 

例えば、スピード。

 

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ウサイン・ボルト選手にとっては、100m走で10秒切ることは、普通のことです。

 

 

では、ボルト選手が難なくできることが、

 

日本人はどうでしょうか?

 

 

9秒台は、

 

現在、夢の記録です。

 

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正にこれが才能です。

 

 

では、ボルト選手が一般人に向けて、

 

「それが当たり前」

 

と言ったとします。

 

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その当たり前のことが、

 

「それはそうだ」

 

と、簡単に頷けるでしょうか?

 

 

 

才能(センス)・・・

 

その重要性も理解できますし、

 

この世に、才能のある人がいることも事実です。

 

 

 

一方で、才能という言葉は曖昧で、

 

そして危険性も有しています。

 

 

「自分は、才能があるんだ」

 

と思っている人が、

 

実は、才能がない場合も多々あります。

 

 

 

最も重要なことは、

 

「才能がある」

 

「才能が少ない」

 

に限らず、

 

 生まれ持った能力を最大限に活かして、

 

 それを伸ばすこと

 

 

 そのための努力を続ける(欠かさない)こと

 

です。

 

 

 

人間が生きる上で、一番大切で重要なことは、

 

自分自身が持っている能力を

 

最大限に伸ばすための努力をすることで、

 

それが一人一人に課せられた

 

『人生の課題』

 

ではないでしょうか。

 

 

実際の場合、大半の人間は、それに向き合うことができません。

 

 

なぜなら、ラクをしたいから・・・。

(人間は、そもそも怠惰な生き物です)

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才能やセンスを論じる前に、

 

自らが

 

正しい努力を具体的に行うべきではないでしょうか。

 

 

 

すし職人の話になりますが、

 

職人の道・・・

 

この長い道のりの中で、

 

  理不尽なこと

 

 「何で?」と感じること

 

も、時にはあるでしょう。

 

 

先のお二人は、この部分を

 

 意味なし

 

 時代遅れ

 

 ダサい

 

と感じる部分かと思います。

 

 

私は、

 

その部分が良い、理不尽な部分を全て肯定するつもりはありません。

 

 

しかし、

 

スマートさを求める過ぎることにより、

 

失われるもの、失われたものはないでしょうか?

 

 

努力の過程の中での試行錯誤、

 

それに要した時間も、何かの糧になるのではないでしょうか。

 

 

ただ一方で、人生の時間は、それほど膨大にあるものではありません。

 

限りがあります。

 

その限られた人生、選手生命の中で、

 

何を取り入れ、何を行うのかは重要なことでもあります。

 ▶その点・・・『正しい努力』の重要性については、また別の回に書かせていただきます。

 

 

 

まとめます。

 

 

ごく短期間の中で、

 

基礎・基本を身につけることなど、まずありえません。

 

 

簡単、スピード、スマート・・・

 

それが過ぎると、人間は怠惰になります。

 

 

 

何ごとを為すにおいても、

 

基礎・基本がなければ、

 

良いものを作りだすことはできません。

 

過去の記事をご参照ください↲

alegruntokai.hatenablog.com

 

 

「プロになりたい」

 

「日本代表になりたい」

 

ということは、多くの子どもが自然に描く夢です。

 

 

それはとても大切なことです。

 

 

夢があるから人間は、活き活きと毎日が過ごせます。

 

 

前向きに生ることができます。

 

 

夢がないことのほうが、悲しすぎます。

 

 

では、その夢を叶えるには、基礎・基本を確固たるものにすることです。

 

それをする時は、子どもたちにとっては“今”なのです。

 

 

ただ、基礎・基本は一朝一夕に身につくものではありません。

 

多くの時間、努力を要します。

 

 

 それ(努力すること)ができない」

 

 「できればやりたくないので簡単に・・・」

 

と思っている子どもは、

 

まずその考え方(悪い癖)を改善しなくてはいけません。

 

 

しかし、その子どもの周囲の大人たちが

 

「努力はダサい」

 

という考えだと、

 

子どもは基礎・基本を習得しようとは思いません。

 

 

 

努力することが嫌いな子どもは、

 

決して大成しません。

 

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“正しい努力を積み重ねること”

 

 

これこそが最も重要であり、

 

それができる子どもが、自身の才能を見出し、

 

将来の可能性を広げていきます。

 

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