アレグラン渡部のサッカーの素

愛知県東海市のスポーツクラブ "アレグラン東海” の代表の渡部貴朗が、自身のサッカー観を中心に、スポーツ、教育など気になることを素直に書いていきます!

世界くん

 

 

多くの方が

 

「何だ?」

 

と感じられたことかと思います。

 

 

 

このたびのタイトル・・・

 

 

世界(せかい)くん。

 

 

 

「世界くん」という名前の人物が、

 

私の近くに存在するわけではありません。

 

 

 

また、

 

何かのアニメのキャラクターでもありません。

 

 

 

実は、この人物は、

 

私たちクラブの主会場である公園グラウンドで

 

時々ボールを蹴っている、とある小学生の男の子です。

 

 

 

名前も知らないので、

 

私の心の中だけで、「世界くん」となっています。

 

 

 

では、なぜ世界くんなのか・・・?

 

 

 

それは、

 

時々現れるお父さんが、

 

「世界は~」

 

という言葉を使い、

 

息子さんに指導されているからです。

 

 

 

どうやらお父さんは、

 

サッカーの経験者で

 

(風の噂ですが)小学生の頃、

 

全国大会に出たことがあるそうです。

 

 

 

先日も

 

(よく聞こえなかったのですが)

「世界は〇〇ができて当たり前・・・」

 

のようなことを口にされていました。

 

 

 

ところで・・・

 

世界くんがやっているコソ練習(*自主トレ)とは?

 

 

 

 

最近は、

 

 

"片方の肩で連続してのボールリフティング"

 

 

です。

 

 

 

そして・・・

 

 

その際の反対の手は?

 

 

 

リフティングをしている肩につながる上腕を抑えています。

(☛分かりやすくは・・・注射後、消毒綿で抑えているようなポーズといったところでしょうか・・・)

 

 

 

ボールを当てる面である肩を固定する(苦肉の)策でしょうか・・・。

 

 

 

その姿を外から見ていますと、

 

当然、違和感を覚えます。

 

 

 

 

肩での連続リフティング・・・

 

 

「必要か?」

 

「否か?」

 

・・・。

 

 

 

 

全く不必要ではありません。

 

 

 

 

しかし・・・

 

サッカーで、

 

圧倒的にボールタッチの頻度が多いのは

 

"足" (※シューズの部位)

 

であることは明白です。

 

 

 

 

そして・・・

 

 

"足で(ボールを)触る"

 

 

というのは・・・

 

 

"片足"での動作を強いることです。

 

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自ずと

 

『重心の位置』

 

 

『バランスのとり方(感覚)』

 

 

(両足で立つ)日常とは

 

大きく異なります。

 

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ボールを止める

 

ボールを蹴る

 

ボールを運ぶ

 

・・・

 

『"片足で立つ"ことがサッカーの基本』

 

といっても過言ではありません。

 

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では再度、

 

「漠然と肩でボールリフティングをする」

 

ことを考えてみましょう。

 

 

『触る機会のほとんどない部位』

 

でボールを触り

 

『両足で立って』

 

動作を、ただただ繰り返している

 

ことだということが分かります。

 

 

 

つまり、

 

サッカーのトレーニングとかけ離れている

 

のです。

 

 

 

では一方で

 

肩でボールをコントロールすることは、

 

意味のないことでしょうか?

 

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サッカープレーヤーは、

 

高いボールフィーリング(*ボール感覚)が求められます。

 

 

 

ですから、

 

ボールフィーリングを高める上においては、

 

肩を用いての連続リフティングも

 

全く意味のないものではないでしょう。

 

 

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以前、

 

フリースタイル的なリフティングについて

 

このブログ内でも取り上げましたが、

 

サッカープレーヤーはフリースタイラーではありません。

 

あなたはどちら? - アレグラン渡部のサッカーの素

 

 

 

フリースタイルも、サッカーボールサイズのボールを足で扱うのですが、

 

求められる技術や力は、大きく異なります。

 

 

 

但し、

 

サッカーという競技の中において、

 

ボールフィーリングのないプレーヤーは、

 

 ▲プレーの選択が乏しい[…ボール扱いに不安があるために顔が上がらないから]

 

 ▲技術が限定される[…ボールを意にまま自由自在に操作でないから]

 

といった現実に直面します。

 

 

 

したがって・・・

 

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プレースピードの速い現代サッカーの中で

 

「ボールリフティングができなくても一流でいられる」

 

ということは、

 

今日、あり得ないことです。

 

 

 

例えば、

 

バロンドールを受賞するプレーヤーが、

 

簡単なフリースタイル的なリフティングが

 

「できない」

 

などということは、おそらくないでしょう。

 

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複雑な技はともかくとして、

 

ボールリフティング自体が満足にできない代表選手など

 

やはりあり得ないことです。

 

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 ボールリフティングは、

 

「サッカーの大切なトレーニングの一つ」

 

であることは

 

"揺るぎない事実"です。

 

 

 

ただそれは、

 

見せかけとは異なるサッカーの競技に繋がる

 

『真のリフティング』

 

というのが前提ですが・・・。

 

 

 

 

そこで今一度、考えてみましょう。

 

サッカーのひとつひとつのプレーは?

 

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(ほぼ)"片足"でする

 

ものです。

 

 

 

そして、

 

その時の

 

 ◎ボールを触る足の感覚

(☆面をつくり、そこにボールを当て、当てる強さを調節する等)

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 ◎ボールを触らない足の感覚

(☆足関節、膝関節、股関節での自重の受け止め等)

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さらには、

 

 ▷地面をつかむ足裏

 

 ▷骨盤の位置を安定させるコア

 

 

これらが、良いサッカーをする上においての源

 

になります。

 

 

 

 

それを完璧なまでに"整え"、"強化"し、"習得"する

 

のが『ボールリフティングの本来の目的』です。

 

 

 

ですから

 

両足で立って

 

頻度の少ない肩を使う

 

リフティングをひたすらやっている(やらされている)

 

男の子を見ていますと

 

 

・・・

 

 

世界はもちろん

 

 

・・・

 

 

プレーヤーとしての成長の限界を感じてしまうのです。

 

 

 

「それは何のための練習?」

 

 

「サッカー?それともフリースタイル?」

 

 

・・・・・・

 

 

しかし、

 

 

最も残念なことは、

 

 

子どもにそれを促しているのが・・・

 

 

であるということです。

(本来、親がわが子を正しい方向に導くはずなのに・・・)

 

 

 

『世界』

 

 

口に出しながら

 

お父さんが、わが子に見せているのは、

 

スマートフォン

 

 

結局は、YouTubeの画像・・・。

 

 

おそらく"世界"の名選手の、遊びのリフティングの映像でしょう。

 

 

 

 

果たして、それ(その映像)は世界でしょうか??

 

 

 

 

ただ一方、

 

このように偉そうに書いています私自身、

 

世界を知りません。

 

 

 

プロサッカーの経験者でもありません。

 

 

 

だからといって

 

指導ができないとも思っていません。

 

 

 

元一流選手でなければ、名指導者になれないということはありません。

 

 

 

しかし、

 

 

「プロの世界を肌で感じたことがない」

 

 

「世界というものを知らない」

 

 

だからこそ

 

 

「謙虚に学ばなくてはならない」

 

 

と肝に銘じています。

 

 

 

危険なことは、

 

胡坐(あぐら)をかくことです。

 

 

 

「元プロ、または全国大会の経験があるから何でもできる」

 

一方

 

「元プロでなくても良い指導はできる」

 

と思っていること自体が危険なことなのです。

 

 

 

では、世界くんのお父さん

 

・・・

 

私はとても危険だと感じています。

 

 

 

おそらくご自身が子ども時分に、

 

サッカーが上手で

 

全国大会に出場したことが大きな過信となり、

 

誤ったことをお子さんに伝えている可能性が高いことです。

 

 

 

全国大会に出場されたことは素晴らしいことです。

 

 

 

それを否定するつもりは全くありません。

 

 

 

ただ、冷静に考えなくてはいけません。

 

 

 

お父さんの年齢から30年ほど前の全少大会。

 

 

 

まだJリーグも始まっていない80年代後半。

 

 

 

日本代表ですら、W杯、五輪のアジア予選を突破できず、

 

"世界を知らない日本"

 

でした。

 

 

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そして時は流れ、

 

現在の日本は

 

最新のFIFAランキングは・・・

 

それでも「55位」。

 

 

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偽りのない日本の現実です。

 

 

 

 

 

この日本の・・・

 

 

約30年前の・・・・・・

 

 

小学生の大会で・・・・・・・・・

 

 

「県代表で出場したこと」

 

 

それは、どれほどのアドバンテージになるのでしょうか?

 

 

 

厳しい見解ですが、

 

 

その経験だけで、果たして世界を語れるでしょうか?

 

 

 

 

世界くんのこの先・・・

 

それは、本人のこれからの努力にかかってきます。

 

 

 

このことは、

 

公園で見かける子どもたちだけではなく、

 

自クラブの子どもたちも同様です。

 

 

 

小学生の時分、

 

たとえどんな良い指導を受けようとも、

 

その後にそれをどう活かし、大きく開花させるかは

 

本人(子ども)次第です。

 

 

 

ただ、

 

誤った価値観、ズレた常識の中、

 

育つ子どもは、

 

大切なものを得ることができないばかりか

 

不必要なものまで吸収していきます。

 

 

 

 

それは、世界への近道でしょうか?

 

 

 

 

大人は謙虚な心で子どもに向き合う必要があります。

 

 

 

 

そして、伝える時には自信を持って。

 

 

 

 

危ないのは

 

大人の過信

 

です。

 

 

 

自分が口にすることは、

 

子どもの将来にも関わることなのです。

 

 

 

その言葉は、

 

本質をついているでしょうか?

 

 

 

サッカーという競技の中で、

 

プレーヤーがボールを扱う時の姿を追求していくと・・・

 

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止める、蹴る、運ぶ・・・ 

 

サッカーのプレー

 

ひとつひとつは片足で行っていることは、

 

「今も昔も変わらない事実」

 

であることが解ります。

 

 

 

事実をあまり追求することなく

 

流れる情報に身を任せていると・・・

 

 

本当のことは、いつまで経っても見えてません。

 

 

 

だから、

 

大人自身が、本当のことを知ろうとする"努力"が必要なのです。

 

 

 

精進する・・・

 

 

つまり、謙虚に専心することが

 

真実に近づく一歩となります。

 

 

 

 

その大人の精進こそが、

 

子どもの成長に大きくつながっていきます。

 

 

 

そして子どもたちひとりひとりは、

 

誰もが世界に羽ばたく可能性を秘める"世界くん"なのです。

 

 

 

 

「子どもは夢(目標)に向かって我慢強く取り組む」

 

「大人は子どもの夢が叶えられるようにサポートする」

 

 

 

お互いの真の努力の先に、

 

世界が見えてくるのではないでしょうか。

 

 

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