空の色は本当に青ですか?
当ブログも、
数えること145本のタイトルを連ね、
これまで自身が得てきた知識や経験を、
より多くの方に伝えたく、
微力ながら、努力を重ねてまいりました。
その数々の投稿の中、
キーワードとして多く登場している言葉が・・・
「躾」
「導き」
ではないでしょうか。
それは、
時代の流れと共に、
『躾や導きという観念』
が、なくなりつつあること
また
観念の多様化により、
『正しさ』
自体が変化してきたこと
を、身をもって感じるからです。
“正しいこと”
を、あなたは説明できますか?
と問われますと
誰もが、一瞬は戸惑うものかと思います。
私もその一人です。
しかし、
良いも
悪いも
全く知らない子どもにとって、
傍にいる大人が
「正しさを知らない」
「正しさを自信を持って伝えられない」
となりますと・・・
子どもは路頭に迷うことになります。
大人は知っているはずです。
知っていなければいけません。
しかし、
それ(正しいこと)を知るには、日頃から
「真実を追求しようとする習慣」が必要になります。
面倒くさい
他者に合わせている方が気が楽だ
・・・
そのような姿勢では、
本当に正しいことは、一向に見えてはきません。
また、
“勇気”がなければ、
正しいことに気づいていても
行動に移すことはできません。
「子どものため」
を口にしながらも、
毅然と対応できないのは、
きっとこの2つ。
『面倒』
『勇気がない』
の気持ちが邪魔をしている
のではないでしょうか。
本当に子どもの将来を考えるなら・・・
“正しいこと”
を伝えなければいけません。
サッカーでいえば
ボールの持ち方
ボールの置き場所
そして
身体の使い方
・・・
しかしこれらは、
「勝手にできるようになるもの」ではありません!
上の画像の アンドレス・イニエスタ選手(スペイン/FCバルセロナ)の
スムーズ且つ、ダイナミックな対敵動作は、
サッカーを詳しく知らない方でも、
その“上手さ”が、画像から充分伝わるのではないでしょうか。
厳しい相手を目の前にしたボールコントロール
▲それを身につけるための『本物の手本』が身近にない
▲ボールを数多く触る環境、
さらに、ボールを奪い合う真剣勝負の土壌がない
・・・・・・・・・
“ここ”とは、これらの画像とは異なる国です。
これらの画像は、全て“ブラジル”のものです。
※ちなみに、2017年8月10日に発表のブラジルのFIFAランキングは1位。
先に述べました“ここ”とは、
サッカー発展途上国で、
尚且つ、
ゆとり教育で個々の自由が蔓延る日本のことです。
厳しい相手を凌駕する技術を身につけることは
「かなり難しい日常」があります。
『1対1でのボールの奪い合い(球際)』
殊更、
『守備者のボール保持者への身体の寄せ』
には
甘さがあります。
したがって(極端な話ですが)、
日本では、少々適当なボールコントロールをしても
相手にボールを奪われることは少ないともいえます。
また、ボールを奪われても
さほど苦しい立場に追い込まれることはありません。
ゲームでボールを失くしたら・・・
次にはボールが回ってこない・・・
などということは、
まず日本にはありません。
やはり、この日本の社会や文化の中では、
待っている(放置しておく)のではなく、
大人が子どもに正しいことを教え、導くこと
が重要なポイントになります。
待っているだけで
あちらの方から、輝く未来が勝手に近づいてはきません・・・。
さて、前置きがとても長くなりましたが、
今回は躾や導きではない、
その真逆にある
『自由な感性』
というものを改めて再認識する出来事がありましたので、
そのことについて書きたいと思います。
先回、折り鶴のタイトルで登場しました
わが家の下の娘、1年生女子。
つい先日の地区のフェスティバル(☚サッカーとは全く無関係)で、
表彰を受けました。
その表彰とは、
絵画作品のコンテストでした。
この地区の園児や児童は、
それぞれ園や学校で、
年一回のフェスティバルに合わせて、
絵画を作成し、提出します。
今回は第31回。
テーマは、「私の街の未来」です。
そして今年は、
「こんなお店があったらいいな」
でした。
上の娘(*4年生)も保育園の頃から毎年、作品を提出していましたので、
フェスティバルでの児童画コンテストのことは知ってはいましたが・・・
これまでに賞をいただいたこともありませんでしたので、
正直なところ、ほとんど(賞の存在は)気にも留めていませんでした。
しかし、
このたびフェスティバルの実行委員会から連絡を受け、
表彰式に参列して大きな気づきがありました。
それは
「夢のある、素敵な企画」
であるということでした。
そして最も印象に残ったこと・・・
それは表彰を前に、選考委員長の先生(*絵画がご専門)の言葉です。
その要旨は、以下の通りです。
「今年もとても良い絵がたくさん集まりました。
今回で、フェスティバルも31回を迎えました。
子どもたちの絵を描く技術の進歩に驚かされています。」
と、ここまでの話は
どこでも耳にするような、ごく普通の内容(評価)でした。
しかし、その後の言葉です。
「ただ気になることは・・・
空の色が“青”しか使っていないことです。」
???
空は、“青”は当たり前・・・
ではないでしょうか。
そして次の言葉が続きました。
「子どもが普通に絵を描くと、青一色にすることはありません。
おそらく、
大人が『空は青で塗るんだよ』と
どこかここかで、指示をしているのだと思います。
空の色は青でしょうか?
子どもの絵(描く空)が、画一化してきていることが少し残念です。」
という評価でした。
一瞬、息をのみました。
自由な発想・・・。
その時の閃き・・・。
ボールが足下に来ました。
ただ
身体は完全に前に向いてはいません。(半身です)
そこに
相手が激しくアプローチしてきました。
さあ、あなたならどうしますか?
1⃣バックパスをする
2⃣斜め、または並行にパスをする
おそらく、このどちらかを選択するかと思います。
しかし・・・
相手にとって一番の脅威で、
度肝を抜かれるのは、
『前を向かれること』ではないでしょうか。
画像を載せました稀代の名手、
ジネディーヌ・ジダン氏(元フランス代表)のようなその力を
誰もがそれを有しているわけではありません。
ただ・・・
日本のサッカーの指導スタイルは・・・
相手がいなければ
「ターン」(▷前を向く)
相手が背後から来たら
「マノン」(▶「相手が来ているぞ」と声をかけパスを促す)
・・・
これは、JFAの準指導員ライセンス講習会(*旧ライセンス制度時代)で
刷り込んだ(刷り込まされた)内容です。
攻撃方向から相手プレーヤー(守備者)が迫っている
または
相手のチャレンジを受けそうになったら
後方の味方プレーヤーは
「マノン!」
と声をかけ、ボールを下げましょう。(バックパスしましょう)
そうすれば・・・
『相手に身体を当てなくても対処できる』
というのが、当時のインストラクターの方の(理由)説明でした。
さらに
『身体的なハンディがある日本人は、
いかにして“身体接触を回避できるか”がポイントである』
ということも述べられていました。
・・・
しかし一方で、
テキストに書いてあったJFAの育成スローガンは、
『“クリエイティブ”で“逞しい”プレーヤーを育成する』
でした。
この“矛盾”は、
「未だ解決していない問題」であると、
現場では強く感じています。
ところでマノンとは?
「Man on!」
つまり、「相手が来ている!」の意味で、
英語で“マノン”と発音するからきた言葉です。
「相手が来ているぞ、ボールを奪われるな!」
といった意味を一言で表す言葉として、重要な掛け声の一つでもあります。
(最近、あまり耳にしなくなりましたが・・・)
1999年のトヨタカップ(*当時)で、
マンチェスター・ユナイテッドFCの選手たちから、最も多く、
そして大きな声で聞かれた言葉だそうです。
守備側の相手が来たら(チャレンジしてきたら)
パス・・・でしょうか?
本当に、それが“最善の手段”でしょうか??
話は少し逸れてしまいましたが、
誰しも子ども(プレーヤー)の将来を想い、
何かを授けようとします。
ただ・・・
「大人の固定概念が優先され、
『本質の部分』が欠けてはいないか」
と、心配になるところがあります。
大人が“子どものため”と考え、行動するのは大切です。
しかし、
『子どものアイデアや挑戦までをも制限する働きがけ』
には、“クエッションマーク”がつきます。
その目の前にある局面を打開するのは・・・
結局は、
『個の力(技術と発想)』
であるはずです。
それを封じ込めてしまっているのは
実は大人なのかも知れません。
「日本人は身体能力が乏しい」
とのイメージや劣等感からでしょうか?
それとも・・・
「目の前の勝負(試合)に勝ちたい」
だから
「(ボールロストの)リスクを回避したい」
からでしょうか?
・・・どちらも間違っています。
「それをしてはいけない」
「こうしなさい」
の大人の“画一的で一方的な働きがけ”では、
クリエイティブなプレーヤー、
また
自立した人間は育ちません。
・・・???
「このブログでは
諄いほど、躾や大人の積極的な働きがけの大切さを書き連ねていますよね?」
という声が返ってきそうです。
それは、つまりこういうことです。
画像上の状況、カメラアングルが異なるのですが、
ボールを持った時
特に、
「相手が近くにいる場合のボールの置き場所」
に注目しなければなりません。
ジダン氏のボールの置き場所と姿勢👇
[※相手を背負ってはいませんが、すぐ右手側に相手がいます]
日本のある育成年代のボールの置き場所と姿勢👇
さらに世界のトッププレーヤーの一人、
ブラジルのネイマール選手のボールの置き場所と姿勢👇
何が違うの?
と感じる方は、
何度も(画像を)観ていただくと分かります。
『何でもできる』状態
と
『そうでない(プレーを制限してしまっている)』状態
の違いです。
そして、
確実にボールをキープ(保持)できているか
も感じていただきたいと思います。
この部分こそが、
『育成の肝』であり、
▷指導者は、最重要課題であることを強く認識し、
課題克服に向けてねばり強く働きかけることができるか
▷子どもは、忍耐強くその部分に取り組むことができるか
が、カギになります。
ここの部分は、
いつもいつも心に念じ、実行するところであると私は考えています。
それは以前にも述べました、
鉛筆の握り方
箸の持ち方
と、同じだからです。
つまり、
基礎
なのです。
●自由な発想を名目に「大切な“躾”を疎かにしている」ケース
また一方で
●子どものアイデアや行動を「指導者の思惑で制限している」ケース
・・・
どちらかに偏っているのが、
残念ながら日本サッカーの育成環境です。
並行して、
家庭や学校の環境も、同じ課題を抱えているような気がします。
放任?
か
言いまくり?
・・・・・・
大切なことは何でしょうか??
それは、子どもを伸ばすことです。
「ボールは“そこ”にありますか?」
そして
「空の色は、本当に“青”ですか?」