アレグラン渡部のサッカーの素

愛知県東海市のスポーツクラブ "アレグラン東海” の代表が、自身のサッカー観を中心に、スポーツ、教育など気になることを素直に書いていきます!

UAE戦 あるシーンに出た明らかな日本の課題 ~攻撃面~

 

 

アジア最終予選の大切な初戦を落としてしまった日本ですが、

この試合で問題になった一つ、

UAEが同点に追いつくきっかけとなりました、

日本ゴール前でFKを与えてしまうシーン。(*吉田選手は警告)

 

このシーンが「警告か否か」、

また「ファウルかノーマルフットボールコンタクト(ノーファウル)か」、

それを論じるよりも、

もっと注視しなければいけない大切な部分があると、

強く感じます。

 

「なぜ、相手にゴール前までボールを運ばれてしまったか?」

 

です。

 

このシーンは、UAEのカウンター攻撃が引き起こしたものですが、

このカウンターの原因をつくったのは、残念ながら『日本』です。

 

中盤右寄りの位置で、ボランチ(*守備的MF)大島選手が

サイドバック酒井宏樹選手に緩いつなぎのパスを送ってしまったところを

相手に狙われ、ボールロストし、

その奪われたボールをUAEのエースのオマル・アブドゥルラフマン選手に

前方にパスを出されたことが原因でした。

 

しかし、実はその前に大きな問題が潜んでいます。

 

画像を交えて説明します。

 

中盤でのボールの奪い合いから、日本の右サイド方向にボールが出ます。

カウンター気味の状態でしたので、4バックで守る相手守備陣は、

揃わずに凸凹の状態でした。

ボールが入った本田選手の前方には、充分なスペースがあります。

一挙にドリブルでスペースに侵入しても良い場面でしたが・・・

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ここで、本田選手は前方には攻撃をしかけず、

ドリブルのスピードを上げず、反対に落とし始めます・・・。

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日本(*本田選手)の後方から、UAEの選手たちがトップスピードで

戻り始めます。

 

パスコースを探し始めた本田選手に、

UAE左サイドハーフの15番イスマイール・アルハマディ選手が、

激しくアプローチします。

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結局は、左斜め“後方にパス”をせざるを得なくなりました。

 

そして、先ほどまで整っていなかったUAEのバックラインは揃い

ボランチもその前のスペースを埋め、日本は攻め手を失った形になりました。

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ここで、攻撃は一旦やり直しになります・・・。

 

つまり、日本は要所要所で、

攻撃のスイッチを自らの手で消してしまっていたのです。

「今、手薄の相手を崩すタイミングだ」

という決断と勇気、そして実行ができず、

『ただボールを失わないだけ』

攻め手がなくなれば、

『やり直し』

・・・

これを続けていた場面が、“多々あった”ように感じます。

 

次に、本田選手のバックパスを受けた長谷部選手は、

前述の通り、前方をブロックされているため、右の大島選手へ横パスを出します。

 

大島選手は、さらに右(*酒井宏樹選手)へ横パスを出します。

 

そのパスが奪われて、一気にカウンターを受け、

結果、日本ゴール前でFKを与えることになります。

 

一連の流れを画像で確認してみましょう。

長谷部選手⑰ ⇒ 大島選手⑦

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大島選手⑦ ⇒ 酒井選手⑲

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画像を、再度ボールが奪われる少し前の時間に戻します。

 

本田選手からボールを受けた(ボールを戻された)時の、

長谷部選手の前方の状況(*UAEゴール前)はどのようになっていたでしょうか?

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UAEは

4人のバックラインが揃い、

ボランチ2人が中央を閉じ、

左サイドも中央に絞り、

さらFW(2トップ)の1人が後方からアプローチをしかけてきています。

 

したがって、

前方に効果的な攻撃をすることが、かなり難しくなっている状況

が分かります。

 

では、なぜ・・・

先ほどのカウンター状態の時に、日本代表(*本田選手)は

前に行くことを躊躇してしまったのでしょうか?

 

その時には、ここまで強固な守備ブロックはできてはいませんでした。

 

『攻める時に攻め切る姿勢がなかったこと』

がまず問題です。

 

そして、大島選手が

『安易な(緩い)横パスを出してしまったこと』

ですが、技術的な問題も少し隠されているような気がします。

右利きの大島選手が、なぜ左足で(体を開き気味に)パスを出したのでしょうか?

向かって左足側からは、

前線からプレスをかけるFW11番アハメド・ハリル選手が迫ってきています。

 

ボールを奪われたのは、この蹴った後のボールですが、

パスの直前、またパスをする正にその最中に奪われたとしても不思議ではない、

ボール扱いをしています。

 

 利き足は右足

 右側には相手がいない

この条件では、右足でボールを蹴ることは、

当然のことのように感じるのですが・・・。

“両足で扱えることへの油断”でしょうか?

その辺りは、分からないのですが、

とにかく軽いプレーであったことは、否めません。

 

そして、

右(本田選手から)→中央(長谷部選手から)→右(大島選手)へと

パスがつながっている最中(*時間をかけている時)に、

右サイドの酒井宏樹選手は、なぜもっと早めに前方に上がらなかったのでしょうか?

 

酒井選手の顔出し(*前方へ上がりパスを受ける体勢)がやや遅かったために、

大島選手のパスも弱くなってしまったと推測されます。

 

ここでも、攻撃のスイッチの入りが不十分な様子が感じられます。

 

正しく、注意深く試合の状況を観ていなければ、

中東の笛にやられてしまった」

しか残りません。

 

現地時間5日、タイ戦に向けた前日会見でハリルホジッチ監督は

「ゲームの瞬間瞬間に、審判の不正義でやられた。

  たくさんの準備をしたのに、我々の庭で奪われた。

  嬉しくはないことだ。

  ただし人生は続く。

  選手を批判するのではなく、励ますことに努めた。

  相手にFKとPKをプレゼントしたが、励ましと回復に努めた」

と述べました。

監督は、表では選手を擁護する発言や振る舞いをされると思います。

この発言も、その表れのひとつだと思います。

 

次に進むためには、チーム、選手の士気を落としてはいけません。

しかし、この監督の発言やインターネットの記事を鵜呑みにしてしまいますと、

あたかも日本側に何も落ち度はなく、

審判の判定が原因で、試合が壊れたと勘違いしてしまいます。

 

私は、育成を担っています。

将来の日本を支えてくれる子どもを育てています。

だからこそ、今日本の何が足りないのかを、

(W杯予選に関わらず)常に探して、

現場で改善を図っていきたいと日々考えています。

 

最後に、本田選手がボールを受けた後(↞このたび取り上げましたシーン)・・・

この日、地上波の中継を担当していましたテレビ朝日の実況は、

「本田、前を向く、チャンスになる日本・・・UAE⑮に体を当てられた後〉

  『強い』・・・〈長谷部選手にボールを戻す〉

  ここで奪われません、『時間をつくります』日本・・・」

との言葉でした。

このカウンター気味の状況で、前に向かわなかったことではなく、

スローダウンしたことで、相手に体を当てられて“ボールを失くさなかったこと”

一旦、バックパスで“ボールを失くさなかったこと”

前者を『強い』

後者を『時間をつくる』

別なかたちで評価していることに、日本が勝てない理由があると感じました。

自身が前向きにプレーしている時に、

背後から来た相手に、「体を当てられるシーンだったでしょうか?」

「時間をつくるシーンだったでしょうか?」

 

メディアも“ボールを失わないこと”だけを声高に評価していては、

観る側も「それでいい」と、一瞬感じてしまうのではないでしょうか?

 

ゴールを奪わなければ、結局はサッカーは勝てません。

ボールを支配しているだけでは・・・。