不思議なジュニアのサッカーの環境 ~その1のつづき(シュート)~
先日、「不思議なジュニアのサッカーの環境」と題して
書きましたが、その内容が審判のことで止まっていましたので、
続きを書きたいと思います。
▲ウォーミングアップでの意図の感じられないポストシュート
(*ゴールまでの距離が遠すぎる、ポストが落とすボールが適当)
▲チーム内で技術の高いプレーヤーを前線に据え、
一方、ゴールキーパーには、技術が乏しいプレーヤーを配置
▲中学を目前に控えた対象者に、狭いハーフピッチで11人制のプレーを強いる
▲負ければ1日で終わるレギュレーション(*10チーム中、6チームが敗退)
(☝審判の行動以外に、これらを先日挙げました)
今回はその中の“ポストシュート”について考えてみたいと思います。
ポストシュート・・・
「コーチにパスをして、プレーヤーが走り込んでシュート!」
よく見かける試合前、ハーフタイム中のシュート練習です。
当日、グラウンドで見かけたのは、
・ピッチ真ん中(ゴールに正対)のポイント
・センターサークルからパスを入れて
・ペナルティエリアの数メートル手前から打つ
かたちが大半でした。
[気になるポイント]
◎この距離(ミドルないしロング)のシュートが
実際試合の場面で、何回起こるのでしょうか?
◎ゴールまでの距離が遠く、
(技術が拙いため)足を強振し、
ボールを遠くに飛ばそうとすることで、
足腰に負荷が強くかかっていませんか?
◎シュートの状況は、ゴール正面からばかりでしょうか?
☆参考データをご確認ください
シュートの成功率(ゴールまでの距離)
〚全選手平均〛
〚メッシ〛
〚C・ロナウド〛
それぞれのプレーヤーのエリアごとのシュート成功率を並べてみます。
これを見れば、メッシがいかに広い範囲からシュートを狙うことができ、
そして高いシュート成功率をたたき出しているかが分かります。
さすがです。
また一方、おおよそ(どのプレーヤーも)シュートを打ってゴールが決まる位置は、
“ゴールエリア内”ということも分かります。
反対に、ペナルティーエリア外からのシュートの成功率は、
大きく減少することが分かります。
※Opta社データ参照
つまり、「シュートシーン」は、“ゴール正面ばかりではない”ことが分かります。
「シュートは、得点を決めるために行うもの」であり、
それを度外視した
“ただ蹴る”
“ただ蹴らせる”
だけのシュートトレーニングは、無意味であるといえます。
◎ポスト役のボールは、丁寧に落とさなければ、
シュートはますます打ちにくくなりますが・・・。
◎ポストシュートとは、“ワンツーパスでの局面打開”の技術になるため、
「最初のパスの質」
「ポストプレーヤーのボールの受け方」
「リターンの質」
それぞれ、『相手を意識した拘り』が非常に大切になりますが、
その辺りはどうでしょうか?
☆少し参考になりそうな動画がありましたのでご参照ください
ポストシュートのポイント
(補足) 映像内で、指導を担当されていらっしゃるのは、亘 崇詞(わたり たかし)氏です。
元サッカー選手で、アルゼンチンの強豪ボカジュアーズでプロ契約を果たした経歴もお持ちで
現在指導者、サッカー解説者としてご活躍の方です。
映像をご覧いただきますとお解りになるかと思いますが、
❶ゴール前でただ単に壁パス(ワンツー)シュートを試みても、
ゴールを決めることはできない
・・・ポスト役が相手をブロックする意識を持ってボールを受けること
❷シュートが外れた場合、ポストを務めたプレーヤーが動いていなければ
ゴールを決めることができない
・・・ポスト役はボールを受けた後に必ず動いてこぼれ球に備えること
ウォームアップ時によくありがちな、
ゴール前の“(通称)立ち地蔵”のようなポスト役の人間に、ボールを送り、
そのリターンパスを、足を強振してゴールに打ち込む・・・
これを繰り返していては、ゲーム中に、ゴールを決めることは不可能です。
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【シュートとは】
◇『得点を入れるため』の、とても大切なプレーであるため、
そのトレーニングには、日頃からのきちんとした拘りが必要である。
〈シュートトレーニング〉
⑴ゴールまでの距離を適切に設定する
⑵ゴールまでの角度にも、気を配って設定する
⑶シュート前の局面打開は、“ワンツー以外の設定”も取り入れる
そして何より、きちんとボールを蹴る技術を有していることが前提です。
○ボールに対して正しく軸足を踏み込み
○上半身でバランスをとり、ボールに力を加える準備を整える
○蹴り足(特に膝から下)を正しく振る
○蹴り足の足首を固定する
○確実にボールに足の部位を当てる
○インパクトの瞬間、そしてその後(蹴った後)の意識も怠らない
(☝ここでいい加減になっては、蹴るボールの質は大きく低下します)
シュート練習は、
『ゴールを決めるためのトレーニングである』
という当たり前の意識を持って臨むことが求められます。
育成年代から、「ただ打つだけのポストシュート」の概念を変えていかなくては、
日本の得点力不足は解消されないと、私は考えています。