アレグラン渡部のサッカーの素

愛知県東海市のスポーツクラブ "アレグラン東海” の代表の渡部貴朗が、自身のサッカー観を中心に、スポーツ、教育など気になることを素直に書いていきます!

『辞めるか続けるか』④          ~合わなかったら辞めて        他のチームを探せばいい~

先日設けました5つの課題の内の“4つ目”に入ります。

 

なぜこのテーマ「辞めるか続けるか」を設けたのか・・・

 

それは、私たちのクラブもこれまで

“このこと”が、

大きな障壁(課題)になったからです。

 

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「辞めるか続けるか」という奥に潜む、

“真の要因” こそが、

実は私たちのクラブだけではなく、

きっと「日本全体の課題」ではないかと考えられるからです。

 

このことにしっかりと向き合い、

検証することが、

同じような悩みを抱える指導者の皆さま、

子どもを持つ多くの保護者の皆さまの

今後の“ヒント”になるのではないかと考え、

進めてきました。

 

いよいよこの検証も、佳境に入りました。

 

 

今回は、

④合わなかったら辞めて他のチームを探せばいい…

です。

 

 

“スポーツ”

また

“子ども”

から少し話を変えます。

 

大人になれば、

誰しも経験する、

「仕事」

「社会」

というもの。

 

 

この「仕事」ですが・・・

 

外側から見るのと、

内側から見るのとでは、

まったく見え方が変わってきます。

 

幼い頃から憧れていた仕事に就いたのに、

理想とはかけ離れた現実に

「こんなはずじゃなかった・・・」

と思ってしまい、

現実を悲観して、辞めてしまうケースも少なくありません。

 

 

ある東京を本社に置く、大手エンターテインメント会社が、

女子高生や女子大生を対象に「将来像に関する意識調査」を実施。

 

その中にはもちろん、『将来なりたい職業』もありました。

 

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夢について調査しました。

「夢がある」と回答した割合は、

84.9%と多く、

 

なりたい職業については、

 

第3位が美容師(4.8%)

第2位が看護師(11.1%)

 

そして

その第1位は

・・・

 

保育士(13.8%)

でした。

 

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 (*ちなみに4位はモデル、5位はアパレル関連でした)

 

[調査期間は、2015年7月10日から26日までの約2週間インターネットアンケートという形で、

 この企業が運営するサイト会員の女子高校生や女子大学生が対象]

 

上位3位は、どれも“有資格者”であることが特徴でした。

 

また、

各職業を選んだ理由(*1番多い意見)は、

保育士は「好きだから」

看護師は「やりがいがありそうだから」

美容師は「憧れているから」

などでした。

 

1位にランクされた保育士。

そのなりたい理由を、

もう少し深く見てみますと以下の通りです。

 

1位 37.7%:好きだから

2位 23.0%:憧れているから

      やりがいがありそうだから *2位は同率です

4位  8.2%:その他

5位  6.6%:目標になる人がいるから

6位  1.6%:安定しているから

 

 

さて一方、

念願の夢が叶い、保育士になった後は、

どうなっているでしょうか?

 

わが国の保育士の離職者の数字を見てみましょう。

 

厚生労働省統計情報部「平成25年社会福祉施設等調査」

によりますと・・・

常勤保育士の離職者数(1年間における離職率)は、

10.3%と算出されます。

つまり、最近では、

 

『常勤保育士の10人に1人が、1年間で辞めている』

 

現実があります。

 

なぜ、そのようなことになるのでしょうか?

 

 

これは、女の子が小さい頃から好きな職業である

“お花屋さん”も同様だそうです。

 

たくさんの女性が求人に申し込むそうですが、

実際に、残るのはごく少数だそうです。

 

花屋さんの仕事というのは、

花を売るだけでなく、

お客さんに良い状態で花が出せるように処理をしたり、

冬場でも冷たい水で長い時間洗ったり、

手にかなりの負担も掛ける過酷なものです。

 

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つまり、理想とのギャップが生まれてしまい、

結果、その仕事が続かないということになっているのです。

 

保育士に話を戻します。

保育士は、その過酷な労働条件にも関わらず、報われない点が多いのが現実です。

(例えば、給与面においては、厚労省の統計では、全産業の平均年収より100万円ほど少ないのが現状です)

低賃金の理由として、下記があげられています。

 ・基本給がそもそも低い

 ・保育士資格が必須であるにもかかわらず、資格手当の支給がない

 ・交通費の支給のないところもある

 ・持ち帰りの仕事が多いが、残業代や手当が計上されない

 

さらに、

子どもとの接し方をはじめ、保育のノウハウを学び、

いざ現場に入ると四苦八苦させられることが多いのが現状です。

現実は思っていた以上に

「“それ以外”の苦労が多い・・・」

という声が多く聞こえます。

 

例えば、

・行事の準備や日々の事務作業など、持ち帰っての仕事が多い

・保護者からのクレーム対応が多く、その処理に追われる

などです。

 

また仕事の内容は、肉体労働(体力勝負)でもあります。

ある程度覚悟して保育士に就かれているのですが、

それでも、

「体力的に無理・・・」

という理由で園を去っていく方が後を絶たない状況だそうです。

早朝から夕方まで(日が暮れてからも)休む暇なく動き回るため、体力は必要です。

特に、子どもを抱っこしたり、重いものを持ち上げたりという動きが多いので、

腰を痛めてしまう方もいます。

 

日々の重労働に加え、帰宅後深夜に及ぶ持ち帰り残業など、

睡眠時間を削ってしまうことで、体力の限界を感じる方も多いのです。

 

 

つまり、

 

理想(イメージ)と現実は異なる場合が多い

 

のが実情です。

 

 

ではこのような状況に出くわした時、

 

辞めるのか続けるのか

 

それは・・・

先回記事でも少し触れましたのでご参照ください。


これまでの続きにもなりますが・・・

 

辛い現実を突きつけられた時に、

頭をよぎるのが、

「もう限界」

「自身には向いていない」

という気持ちです。

 


あるインターネットのサイトで、

仕事が自身に向いているか否かの相談者の相談に関して、

建築関係の職人の方が意見を述べられていた内容が、とても参考になります。

その一部をご紹介します。

 

 (自身は)好きでやってるだけで、向いてるか向いてないかは全然分かりません。

 失敗もするし、覚えなきゃいけない事はたくさんあるし。

 (あなたは)「向いてない」と誰かに言われたからといって、

 辞めることができますか?

 「この先一生芽が出なかったら・・・」

 と考えるのでしたら、一方

 「では何をするのですか?」

 「他にやりたい事はあるのですか?」

 もし、ないなら、

 『向いていようが向いてなかろうが、やるしかありません』。

 好きなら、その困難な現状をどうするかと考えて努力するでしょうから

 いずれはどうにかなるものだと思います。

 私は職人なのに手が遅くて、困る時はありますが

 仕上がりの美しさでは負けないと自負しています。

 あなたの弱い部分(ウィークポイント)が致命的なのかどうかは分かりません。

 また、そのウィークポイントが直らなくても、

 それが霞む程のもの(ストロングなもの)を身に付ければ、

 大した事ではないのかも知れません。

 しかし、それは今やめてしまえば永久に分かりません。

  “向いてない”と言ったその人を

 「自分が間違ってましたごめんなさい」

 と、いつか土下座をさせるぐらい思っていないなら、

 いずれどこかの時点でやめる事にはなるでしょう。

 そんな程度の情熱しかなかったという事です。

 何が足りないのか、

 何を足せるのかを考え続けましょう。

 

という内容でした。

 

正に、大切なことは

 

『我慢』と『情熱』

 

ということに気づかされます。

 

 

話が、④のテーマになかなか向かいませんが、

結局は、

今のチームを出て、他のチームを探す前に

『するべきことが多々ある』のではないかということです。

 

まずは、

 

「夢や目標の再確認」

 

が必要です。

 

そして、

現在の課題となっていることは、改善可能なのか否かということ。

 

自身の努力では、どうやっても見込みが立たないのであれば、

辞める、他に変わることも致し方ないともいえます・・・。

 

但し、改善の見込みがあるにも関わらず、

(◎改善の見込み…例えば、短所を長所でカバーする。なければ長所を手に入れること。)

辞めてしまえば・・・

 

何も手に入りません。

 

もちろん、自分自身の“人間としての成長”も。

 

“それ(そのような考え)”を、

親、学校の先生、そしてスポーツクラブのコーチなど

子どもに直接関わる大人は、

真剣に子どもに伝えていかなくてはいけません。

 

 

「合わなかったら他を・・・」

 

この考えや行動がクセになってしまったら、

職業人になった時、どのようになってしまうのでしょうか?

 

稀に、たくさんの職業を転々とされた後、

事業を成功させた企業家の方もいらっしゃいます。

 

ただ、多くの人間は、

自身の甘い考えに飲み込まれ、

活躍できないどころか、

「何年経っても人生を定められない」

事態に陥っています。

 

 

そして、

他のチームを探すということですが・・・

 

このたび取り上げたもの(本題となるもの)が、

高校サッカーの監督さんのお話でした。

 

『◯◯高校でサッカーがやりたくて進学した』

 

けれども・・・合わないから辞めて、他チームに変わる・・・

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 それは、捉え方によれば、

「学校を転校すること」

をも意味します。

 

 

はたまた、

学校の部活動サッカーを辞めて、

 民間のクラブチームに変わるということでしょうか?

 

 

「親の負担(金銭面)は?」

 

「別れることになるチームの仲間のことは?」

 

 

“現実的ではない”

ように感じます。

 

 

最近、頻繁に耳にします、

「ブラック ~~」 という言葉・・・

 

本当にブラック(人格否定、尊厳無視の)団体も

残念ながら存在するのは事実です。

 

しかし・・・

「自身のイメージとそぐわない」

だけで、

(ブラックとまでは言わなくとも)

「合わない」と決めつけて

安易に他に乗り換えることは、

 

果たして、子ども自身の成長にはつながるのでしょうか。

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