副審について考えます ~懲罰~
「懲罰」
・・・
懲罰とは、規則やルールに反する行為を行ったものに対し
罰を与えて懲らしめることである。
イエローカード、レッドカードというものは、
“懲罰”の意味で提示されるカードなのです。
(▼参照)
https://www.jfa.jp/documents/pdf/basic/br26.pdf
では、先々回より採り上げています、
スコットランドのリーグ(スコティッシュ・プレミアリーグ)での一件、
主審が副審に対し、レッドカードを提示したことは
どうだったのでしょうか?
先の動画サイトのコメントを見ていますと・・・
「赤出されたら引っ込まないといけないもんな 笑 しっかり休んで!」
「恐らく副審が体調が悪くなって、本人は『まだやれます』と言っているのを
『いいから休みなさい』というシチュエーションなんだと思います。
粋な主審にあっぱれ!!」
といった内容が挙がり、
それぞれ二桁の「いいね」がついていました。
・・・
インターネットですから
名前も分かりませんし、顔は見えません。
コメント入力も、いいねボタンを押すことも
あまり考える必要はないでしょう。
だから、
「そのような半ば無責任な意見に足を止める必要はない」
とも言えます。
ただ・・・
そのような現実を見ても分かることは、
ふざけた人間が増えている・・・
ということよりも、
正しいサッカー理解というものがまだまだこの国には欠けている
ということを強く感じてしまう
のです。
「警告とは?」
「退場とは?」
その重みをどの位の人が理解しているのでしょうか?
多くの人々が、簡単に口にしてしまう
「あれはイエローだろう!」
例えばそのような言葉
・・・
本来それは、とても重い意味を含んでいる一言なのです。
なぜなら、
試合中の競技者(プレーヤー)に対し
その日の競技の終わりを意味することにもなる
わけですから。
レフェリー寄りの見解になってしまうかも知れませんが、
レフェリーが、警告者や退場者をつくりたい(出したい)はずは
決してありません。
しかし一方、
コメントにみられるような軽い発言・・・
巷に多く聞かれませんか?
繰り返しますが、
イエローカードやレッドカードは
そう安々と出すものではそもそもないのです。
話は大きく逸れますが、
わが国日本は、
疾うの昔、ご承知の通りサムライの国でした。
サムライは、その漢字からも・・・
(侍と待の文字をかけて)“待つ人”である
と学生時分にある日本史の先生がおっしゃっていました。
その説が確かか否かは別として、
分かるような気がします。
なぜなら、サムライは刀を腰に下げているからです。
自制心がなければ(つまり“待つ”ことができなれば・・・)
そこら中で、刃傷ざたが勃発してしまいます。
江戸時代も末期のことです。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、
また槍の名手としても名高い高橋泥舟とともに
その鉄舟ですが、
剣客としても無刀流の極意を極めながらも、
暗殺やテロが横行する幕末の動乱のなかで
『生涯ただ一人の人間も斬ったことがない』
そうです。
人を殺める武器でもある刀。
山岡は、その不当な使用を非難し、自らを律していたことが推測されます。
武士道では、
心が洗練されている武士は、
『自分の刀を使うべき時をしっかりと心得ている』
とされています。
一方で、
やたら刀を振り回して威を見せる者は、
「卑怯者、虚勢をはる者」として
蔑まれていました。
『レフェリーも実は同じ』
と感じることがあります。
「カードを出す」
・・・
それは即ち、
「武士が刀を抜くことに等しい」
といえるのではないでしょうか。
カードを出すということは、見方を変えれば
プレーヤーの出場の機会を“封じる”ことになる
のですから・・・。
その重みというものを
サッカーファンであるならば理解する必要があります。
「レフェリーは、刀を振り回すかの如く、カードを(簡単に)出すものではない」
ということを。
「それは詭弁だ」
という意見もあるでしょう。
ただ、本物のレフェリーはカードの出し方を弁えています。
大切なことは、レフェリーだけでなく
私たち試合を観る側も(もちろんプレーヤーも)
サッカーというスポーツを
そして、
そのルール(競技規則)を
正しく捉える必要があります。
そして問題の動画ですが・・・
私は決して笑えませんし、
粋な計らいと捉えることもできません。
レフェリーは当然のことながらコミュニケーションシステムを使用しています。
ちなみに、日本の場合は5年前から採用されています。
問題の場面は、
プレーヤーがコーナーキックを蹴る正にそのシーンです。
つまり、
アウトオブプレー中の出来事。
副審の体調の異変における対応は、
まず無線を通して可能であったはず。
そして、
プレーが一時停止している中、
主審が副審に直接の様子伺いは
時間的にも充分にできたはずです。
それを怠り、
カードで対処するとは
私は、
“違った意味(悪い方)”で前代未聞の出来事であった
と受け止めています。
ですので、
ウェブサイトのタイトルのような、
お笑いネタには決してなりません。
ただ、一方現場での詳細(真の部分)は分かりません。
しかし、
選手もスタッフも観客、そこ(スタジアム)にいた人間全ては
その目で見たことしか分からないのです。
レフェリー間で(コミュニケーションシステム等を通じて)何かのやり取りの末、
そのような顛末に至ったのでしょうか・・・。
ただ見ている側としては、やはり理解はできません。
(*テレビ中継がされていた場合、もちろん視聴者も理解はできなかったでしょう)
主審が副審にカードを出す・・・
何度考えてもあり得ないことです。
あってはならないことです。
しかし一方で、
先の動画サイトに私が投げかけたコメントを読んでも
その返しのコメント自体が
(失礼ですが)あまりにも拙い文言が並んでいました。
まだこの国にはサッカーが、正しく文化として根付いていない
そのような残念な現実が感じられてなりません。
遠い国の出来事でしたが、
動画サイトを通じこのたび知ることになりました。
「カードの重み」
「立ち振る舞い」
・・・
レフェリーは、
試合の大きな責任を背負っています。
そして、
「良いゲームとは?」
どうやって成すものでしょうか❔
プレーヤー
コーチングスタッフ
観衆
レフェリー
サッカーを愛する者
皆で作り上げるものではないでしょうか。